テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
そう、現実だった。
あの夜の出来事、全部。 現実だった。
諸々を思い出して赤くなる真衣香。
それをマジマジと見つめる坪井は、大きく息を吐いてダメ出しした。
「てゆーか、それダメ、その顔。 もうすぐ他の奴らも出勤してくるのわかってる?」
囁く声が低い。
いつもはもっと明るい声なのに。
シーンごとのギャップに真衣香の心臓がついていけない。
(モテる人は声も使い分けれるの!?)
「え、えっと坪井くん? あの……」
焦った真衣香が坪井の名を呼ぶと。
ほんの一瞬驚いたように息を飲んだ、そんな音が聞こえて。
でも、次は、もう聴き慣れた陽気な声がした。
「だーかーら、さぁ? 会社であんまり可愛くすんなって話、しかも朝から」
けれど、そんな聴き慣れた声さえも。
耳に唇を寄せたまま話されると、どうしてだろう。
「つ、坪井く……、耳嫌だ」
息がかかるたびに、ぞくぞくと背中が震える。
「へえ、お前耳、弱いの? マジか、覚えとくね」
「何かやらしい言い方してる」
「え? そりゃ、会社じゃなかったら今猛烈に押し倒したい気分だし」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!