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第7話(第1部・完結):いばらの道を、君と共に
律は父親が率いる精鋭部隊を相手に、圧倒的な禁忌の結界術で大立ち回りを演じる。しかし、ここは政府の総本山。荊棘を庇いながら戦う律は次第に追いつめられていく。「これで終わりだ、我が家の面汚しめ」父親が放った、魂をも引き裂く安倍家最大の滅殺術式。律は避けることもできた。しかし、自分の後ろには妖力を封じられた荊棘がいる。律は一歩も引かず、荊棘の盾となるようにその直撃を正面から浴びてしまう。凄まじい爆炎。律は大量の血を吐きながら、荊棘の目の前で崩れ落ちた。「――律ーーーーーーーーーっ!!」ボロボロになり、ピクリとも動かなくなった律の身体を抱きしめ、荊棘の心の中で何かが完全に崩壊する。激しい後悔と、律を傷つけた者たちへの底知れない怒り。その瞬間、身体を縛っていた『調伏結界』が、内側から溢れ出すエネルギーによって粉々に爆散した。頭から、これまでにないほど禍々しく尖った「漆黒の二本の角」が突き出る。そして長い髪は、命の灯火を燃やすような「鮮烈な真紅」へと完全変貌を遂げた。瞳は血のような赤に染まる。「……うちの、たった一人の大事なツレに、何してくれてんの。……堪忍袋の緒ぉ、切れたわ」怒りに狂った赤髪の荊棘は、まさに大災害そのもの。圧倒的な力で、父親の軍勢を一人で完膚なきまでにボコボコに叩き潰していく。すべての敵を文字通り一瞬で壊滅させ、息を荒くする赤髪の荊棘。彼女の心は鬼の狂気に呑まれかけており、視界が赤く染まっていく。(……もう、人間の心に、元の黒髪には戻れへんかもしれん……)その時、背後から血塗れの手が、そっと荊棘の赤い髪に触れた。「……はは、やっぱり……赤髪の荊棘ちゃんも……めちゃくちゃ、カッコいい、ですぅ……」意識を取り戻した律の目は、いつもの情けない、優しいタレ目に戻っていた。律は、鬼の狂気に呑まれかけていた荊棘の顔を両手で包み込み、優しく微笑む。「もう誰も……君を傷つけないよ。だから……おうちに、帰ろう?」その世界一優しい言葉を聞いた瞬間、荊棘の赤い瞳から大粒の涙が溢れ出し、真紅だった髪の毛が、サラサラといつもの「黒髪」へと戻っていく。「……ほんま、……ほんまに手ぇかかる子ぉやわ。……おおきに、律」荊棘は人間の心を取り戻し、気絶した律を今度は自分が背負い、静かに施設を後にする。政府を敵に回し、世界の半分を占める妖怪たちからも追われる身となった2人。しかし、トゲトゲしい黒髪のウルフ女子と、彼女を裏から支える天才ヘタレ陰陽師の「本当の共避行」は、ここから新しく始まるのだった。(第一部・完結)
コメント
1件
第7話、一気に読んじゃいました…!律が荊棘をかばって致命傷を受けるところから、荊棘が怒りで覚醒して赤髪の鬼になる流れ、圧巻でしたね。でも何より心に残ったのは、ボロボロの律が「赤髪の荊棘ちゃんもめちゃくちゃカッコいい」って笑いかけるシーン。あの優しさで彼女が人間の心を取り戻す演出、めちゃくちゃ効いてます。設定の強度だけでなく、二人の関係性の深まりが第1部の締めくくりにぴったりでした。続きが楽しみです!