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今年、最初の雪が降った。
白い空を見た瞬間、胸が少しだけ痛くなる。
私たちは、確かに恋人だった。
少ししか会えなくても
その時間があれば十分だって、信じてた。
でも少しずつ、
連絡は短くなって、
会う約束は減っていった。
「忙しいんだ」
その言葉を、私は何度も飲み込んだ。
別れの日、
あなたは目を合わせなかった。
理由は聞かなかった。
聞いてしまったら、
全部が崩れそうだったから。
それでも、
嫌いになれなかった。
初雪の日、
街の向こうにあなたを見つけた。
声をかけようとして、
でも足が動かなかった。
私はただ、立ち尽くすだけ。
白い息を吐いて歩いていく。
雪は静かに降り積もる。
終わった恋みたいに、
触れたら消えてしまいそうで。
付き合っていた時間も、
笑った記憶も、
全部、本物だった。
それでも、
もう戻れないことだけは分かっている。
初雪が降るたび、
私はこの恋を思い出す。
言えなかった想いごと、
私の First Snow。