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(者ども、いくぞ!)
私は心の中でホラ貝を鳴らし、ワクワクしながら列に並ぶ。
料理はお馴染みの感じで、サラダは菜っ葉の他にもキュウリや紫キャベツ、千切りにした人参など、色とりどりに揃っている。
お隣にはコールドミール――ハム類があるけれど、それも数種類あり、サラダチキンみたいなのやサラミ、スモークサーモンもある。
「外資系だなぁ……」と思ったのは、トルティーヤのチップスまであった事だ。
他にも、どでかいローストビーフみたいな、ソースがかかったハムがあり、それは一人前がお皿に盛られて置かれてある。
ソーセージにベーコン、フライドポテト、カレーにショートパスタ、玉子料理はゆで卵、スクランブルエッグ、目玉焼き、オムレツなど全部ある。
オムレツは目の前で作ってくれるけれど、なんと、牡蠣を入れてもらう事が可能だ。さすが広島!
自家製のお豆腐は大きな枡みたいなのに入っていて、スプーンですくう形だ。
あとは白米やお粥、炊き込みご飯、お味噌汁、お蕎麦など。
そして煮物や、凜さんからもらった練り物の〝がんす〟もあり、焼き鯖は冷えているのを温めるために、隣に七輪が置かれてあった。
納豆、漬物の他に、勿論パンも沢山種類があり、フルーツやヨーグルト、シリアルもある。
飲み物は何種類ものジュースの他に牛乳、青汁まであった。
(わああああ……)
私はあちこち目移りしながら、食べたいと思った料理をお皿にのせていく。
宿によっては九つぐらいに分かれている仕切り皿がある所もあるけど、ここはお上品に白くて丸いプレートだ。
プレートも重さがあるので、欲張っていると腕がプルプルしてくる。
チラッと尊さんを見ると、まるでカフェのお洒落プレートみたいに、彩りよく色んな物を少しずつのせている。
(私……! 私……!)
自分のプレートを見ると、お肉! 卵! パスタ! カレー! という感じで、欲望が滲み出ていて恥ずかしい。
「……や、野菜はあとでちゃんと食べますから」
ボソッと言うと、尊さんはクシャッと笑う。
「何も言ってねぇだろーが。好きなもんを食えばいいんだから、見栄張るなよ。給食じゃないんだから、誰も注意しないって」
「そ、それはそうですけど……。尊さんより女子力がない……」
「ミトコの事は気にしないで」
「ひひひひひ」
いきなりミトコがでてきて、私は肩を揺らして笑う。
とりあえず第一回が終わって席に着き、私は景色を眺めながらパクパクと食べて胃に収めていく。
「よし! 二回目行ってきます!」
「早ぇな。道中お気を付けて」
尊さんはよく分からないお見送りをしてくれ、私はズンズンとスタート地点に戻る。
三周ぐらいして思い残しがないぐらい食べたあと、私はニコニコ笑顔になって朝食会場を出た。
「……そんでその腹かよ」
尊さんはちょっとだけ膨らんだ私のお腹を見て、怖ろしいものを見る目をしている。
「中村さんが怯えるの、分かるわ……」
「今、お腹の中ではスーパーアカリン液が出て、食べ物をスムーズに消化しています。今からお昼楽しみ! 何食べよっかなぁ……」
ランチの話をすると、尊さんはげんなりとして言う。
「俺、食ったばかりだから、昼の話はパス」
「食いしん坊なアカリンは嫌いですか?」
エレベーターの中でわざとキュルン顔で尋ねると、彼はクツクツ笑いながら私の頭を撫でる。
「大好きだよ。思う存分食え」
「やったね! 言質取った!」
よく分からない会話をしつつ、私たちは部屋に戻って歯磨きをする。
レンタカーの窓口は朝八時からなので、少しテレビを見てのんびりしたあと、チェックアウトした。
そのあと広島駅にあるレンタカーの窓口に行き、SUV車を借りて出発する。
「朱里、カーナビ頼むな」
「アイアイサー!」
車のカーナビでも厳島神社への道のりはセットしたけれど、私も念のためスマホのマップアプリで確認する。
「不思議な気持ちですね。知らない土地で知らない車に乗って、尊さんの運転で出かけるって」
「俺もちょっと楽しい」
そう言った彼の言葉を聞き、「そうか、こういう時、尊さんは『楽しい』なのか」と変な感動を抱いてしまった。
コメント
1件
アカリンは朝から食欲旺盛!絶好調ですね〜❣️🍴😋🥩🍖🍛💞 ミトコも登場し😎👍、愉快で美味しい朝食タイム🎶🍴☕🌅