・何もかも前回と一緒です
・すみません投稿頻度ばり遅くて土下座します
それではどうぞ!
ナンパと華太(京極組(五十嵐夫妻、虎徹)×華太)
「ふぅ、食った食った」
俺の名前は小峠華太。黒焉街のラーメン屋で昼飯を終えた中堅の極道だ。
(少しだけ遠出するのも良かったな……よし、午後も仕事頑張るか)
そう思い組へ足を向けようとしたその時だった。
「や、辞めてください!」
「あん?」
後方近くから若そうな女性の声が聞こえた。
振り返るとそこには胡桃色の綺麗な髪の女性とその方を取り巻くように3人の男性が居た。
(これは……ナンパか?)
そう、それは見るからにあの女性にちょっかいをかけていたのだ。それはもう大きい体格を利用した圧力をかけて。
(見た所女性の方は嫌がってる様子だし……これは見過ごせねぇな)
黒焉街はシマでは無いがこれを放っておいたら仁義者なんて名乗れない。
俺は踵を返して問題の起こっている方向へ向かった。
「私、予定あるので…!」
「いいからちょっと付き合えよ。金は払うから……」
「おい」
そう声をかけとん、と話しかけている輩の肩に手を置いた。俺の存在に気づいた男はゆらりと体を動かし俺と向かい合うように体制を変えた。見た目は筋肉質で俺より高身長…まぁ、カタギが見たらビビるわな。
「何だあんた?俺今忙しいんだけど」
「忙しい所すまねぇな。で、その子嫌がってるように思えるけど何してんの?」
そう言い俺は少々圧を与えた。それに少し押されたのか男は肩を揺らしたが、すぐに表情を変え俺に噛み付く様に話してきた。
「別にテメェは関係無ぇだろ!放っておけよ!それともお前、痛い目見てぇのか?」
「あ?んだと?お前こそ…」
と言い返そうとしたが、周りを見ると人が集まってきていた。クソ、騒ぎ立てすぎたか。このまま騒いでいても良い事は無い。しかし人が集まりすぎているせいで暴力で解決する事は出来ない。だからといって話し合いでどうにかなる相手じゃない。
こうなったら……
「…関係あんだよ。だって俺、コイツの彼氏だし」
「…え……?」
「はぁ!?」
やってしまった
「か、彼氏!?んな訳、だってお前そんな素振り一度も」
「わざと見せなかったんだよ。理由は言わん。……もういいか?行くぞ、お前」
そう言って俺は女性の手のひらを掴んで元来た方向へ足を進めた。そうして乗り切ろうとすると
「おい、待て!」
今度は男が俺の肩に手を置いてきた。面倒すぎるだろコイツ。
これ以上付き纏われても面倒な為、俺はコイツの手首を掴み男に顔を近づけた。
「テメェ、諦め悪ぃんだよ。それとも何?殴られてぇの?」
そう言って掴んだいた手首を強く握り直した。勿論骨は折らない程度に。
「ぐっ……!?」
「覚えとけ、俺は天羽組の小峠。んで、コイツは俺の連れだ。
今度この子に手を出したら殺す。分かったらさっさと行け」
俺がそう言い終わる直前、男は俺の手を振り切ってどこかに走り出して行った。もう二度と迷惑をかけないといいが。
「あの……」
男の事を考えていだが、女性の声を聞いてハッとした。俺、さっき何した?女性の手を握った?しかも勝手に?
俺の脳裏によぎったのは、女性による死。ただでさえ手を触れるのは不快なはずなのに彼女呼ばわりされたらもう心に深い傷をおっていても仕方ない。これは土下座するしかない。
「さっきはありが……」
「本当にすみませんでした」
俺はそう淡々と呟いたあと、頭を地面に擦り付けた。地面はアスファルトだったため少し痛い。多分血出てる。
「え、ちょっ?!」
「貴方にした事が許される事だとは決して思っていません大切な人生に私のような者が触れてしまったこと、ましては彼氏を名乗ってしまったことは万死に値する事は重々承知です。如何なる罪でも受けますですのでどうか…」
「お、落ち着いて下さい!」
地面に頭を擦り付けて謝っていると、女性の心配しているような声が聞こえた。自分に害を与えた人間を心配するとは何て優しいんだ。
「罪だなんてそんな…!貴方に助けて頂けなければ今頃凄惨な現場になっていたはずです。本当に感謝しています。…ですので頭をあげて下さい」
凄惨な現場……?
表現の仕方が引っ掛かったが、頭をあげて良いと許可が出たため俺は膝を立て体を起こした。こりゃ誰かに見られたら笑い者だな。
「にしても、お怪我はありませんか?少々強引に掴んでしまったのでは無いかと心配で…」
「いいえ、ありませんわ。優しく掴んで頂けましたから!」
「それは良かった。…見た所誰かをお待ちになられていたようですが、恋人ですか? 」
「はい!実は夫達と買い物に行くと約束していて、此処で待ち合わせをしていたんです。あまり1人で行動する事は控えられているんですけど、久しぶりに1人で行動していたんですよ!」
「へぇ」
夫”達”?1人で行動する事を控えられている?何だか引っかかる事が多いな。もしかしてどこかの令嬢とかそこら辺か?
気になる所はあったが長居して旦那さんが来た時紛らわし事になるのは勘弁なので早々に話を切り上げる事にした。
「それは良いですね。ではもうそろそろ行きますね、旦那さんと楽しんで下さ」
「あ!姐さん!」
話を終わらせようとすると、背後から声が聞こえた。その声はどこな聞き馴染みがあって……
ん?
姐さん????
そう、なんと俺の後ろから来たのはあの五十嵐組長と久我君だったのだ。いやどんな偶然だよ。
ん?いや待て。ならこのお方は京極組の……
小「アネサン……?」(小声)
梢「虎徹さん!今日は買い物に付き合ってくれてありがとうございます!幸光さんも…」
五「なに、梢のためなら何でもするさ。虎徹もお前と出掛けるのを楽しみにしていたしな」
虎「姐さんと選んだプレゼントはいつも小峠さんに喜ばれますからね!今日も夜渡しに行くんすよねー!……ん?あれ、その方は……」
ぎくり。
くそ、こんな所見られたら京極組に笑われ続けて挙句の果てには天羽組にも伝わってネタにされちまう。
幸い背中を向けていて顔は見られていない。ならこのままバレないよう帰るしかない。
梢「ああ、この方は……」
小「俺、もう帰りますね。では」(超低音)
こうしてほぼ強引に帰ろうとすると、ガシッと左手を掴んだ。掴んだのは……
虎「この感触、温度、匂い……もしかして小峠さん!?」
久我君だった。しかも服装で言い当てられると思ったら謎の3項目から当てられたし。ちょっと引く。
五「何だって?」
梢「あら、貴方があの?」
こりゃもう逃げるのは無理だ、そう判断した俺は諦めて2人の方を向いた。
小「……お世話になっております。五十嵐組長……と、久我君……」
虎「こんな所で小峠さんに会えるなんて生きてて良かった〜〜〜〜〜!」
五「むむ、まさかこんな所で小峠君に会うとは……しかも梢と一緒だなんて。何かあったのかい?」
辞めてくれ、それだけは絶対に知られてはいけな……
梢「ええ!実はね、さっき私がナンパされていた時、小峠さんがそのナンパしてきた人から私を守ってくれたんです!」
五「え?」
虎「へ?」
小「ぁぁ……」
やはり人生そんな上手くはいかない。
五「ナ、ナンパ?そんな事があったのか?」
梢「そうよ!私を守るために彼氏役まで買ってくれて、私少しドキッとしちゃいました……」
虎「は???彼氏????」
梢さん、そこまで言わなくて良いでしょう。
もしかしてまだ恨んでます??
五「そ、そうなのか」
梢「それにね、私の手を優しく、だけどしっかり掴んで私を男から連れ出してくれたし、その後追いかけてきた男の手首を程よい強さで掴み返してくれたの!その時の顔といったらもう美しくて……」
虎「は???姐さんの手を引いて姐さんのために男に睨みをきかせた???」
そして何故五十嵐さんより久我君の方がキレ気味なんだ。
梢「極めつけに『コイツは俺の連れ』っていって一生私に近づけないよう警告してくれたの!この時私嬉しかったわ!」
小「ちょ、ちょっとその位にして下さ」
五「小峠くん」
小「ひっ」
梢さんが一頻り話し終わった時、口数の少なかった五十嵐組長が口を開いた。それも少し面暗そうな顔をして。まずい、そりゃ妻が変な男×2にちょっかい掛けられてた事を知れば怒髪天をつくことになるのは当然の事。まずい、一体どんな仕置が待ってるんだ…
小「な、何でしょ」
五「ウチの虎徹が迷惑を掛ける」
小「え?」
そう言い終わった瞬間、さっきから少しキレ気味だった久我君が動いたと思えば突然タックルと見せかけた強めのハグを俺にかましてきた。
小「ぐはっ!?」
虎「ずるいですよ姐さんんんんんっ!!俺も悪質ナンパ野郎から守って下さいよぉぉぉぉ」
小「ぐっ……ふっ……それなら……梢さんに……抱きつけ……よ!」
梢「ふふ、ごめんなさい虎徹さん。役得しちゃった。」
虎「うううっ、俺も女装したらいけますかねぇぇ」
五「それは辞めた方がいいな」
虎「うわぁぁぁぁっ」
小「いてぇんだよお前!いい加減離れろ!」
虎「じゃあ俺にも年上スパダリムード出してデートして下さいよ!あ、でもいつもの頼りになるお兄さんでもいいですよ」
小「何言ってんだお前」
この後大福買ってあげたら機嫌治った。
華太
梢さんと五十嵐組長には悪い事したなって思ってる。久我君は取り敢えず休んだ方がいいと思う。
五十嵐組長
梢が嬉しそうで俺も嬉しいよ状態。なんなら俺も小峠君に悪いやつから守って欲しい。
五十嵐梢
幸光さん以外に恋心を抱く事はないと思ってるけど初対面でこれはちょっと危ないかも。幸光さん大好き。小峠さん大好き。
久我虎徹
小峠さん大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き。
続く
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グハッスコスコのどいすこ(意味、愛してるという事)