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 アレイシアと過ごした喫茶店はおそらく失敗に終わったのだろう。

 僕は彼女に踏み込み過ぎたのが原因。

 グイグイ迫る男性は嫌われると聞いたことがある。しかもほとんど初対面でお互いに何も知らない状態で。

 会話一つない食事はすぐに終わってしまった。予定終了時刻を30分以上残った。

 そのまま無言のまま店を出たのだが……ウェルなんて「何やらかしたんですか?」と目で訴えてくる。

 そのまま、馬車に行って帰るべきかと思うも……このまま帰るのも申し訳ない。

『ドクドクドクドク』

 それにアレイシアの鼓動の速さは通常に戻っていた。

 この速さも異常だと思うが、これがアレイシアが僕のそばにいる時の速さ。

 ……とりあえず謝罪をするか。 

「アレイシア嬢」

「……」

 ……だが、名前を呼ぶも反応がない。

 そういえば婚約が決まった日、リタはアレイシアを起動する時、肩で揺さぶりながら話しかけていたっけ。

 僕はアレイシアの名を呼びながら軽く肩を揺らす。

 女性に気軽に触れていいものか、そう悩むも僕は婚約者。なんの問題もない。

 合法的な理由がある。

「アレイシア嬢?」

「……なんでしょうか?」

 肩を軽く揺さぶることでアレイシアやっと反応した。

 肩に触れたとき、特に気にしたそぶりを見せなかった。いや、気にしている余裕がなかったのかもしれないけど。

 とにかく、これなら話をしてくれそうなのでまずは先ほどの謝罪をする。

「今日は不快にさせる発言をしてしまい申し訳ありませんでした」

「……へ?」

 突然の謝罪にアレイシアは小さい声で反応した。

 また、困惑してフリーズしたのかと思ったが,すぐに返答は返ってきた。

「……謝罪をするということは……あの言葉は出まかせだったということですか?」

 アレイシアの声は今まで小さい。

 下手したら聞き逃してしまいそうなほど小さかった。

 でも、僕は絶対に聞き逃さない。

「僕の本音です」

 多分アレイシアは何か別の誤解をしているのかもしれない。なので何に対する謝罪かはっきりさせる。

「僕の発言でアレイシア嬢のご機嫌を損ねてしまったのではないかと思いまして」

「……そうですか」

 どうにか誤解は解けた様子だが,まだ声音が弱い。

 そして、それから十秒ほど経った後、アレイシアは話し始める。

「……軽はずみな言動は時に人を困惑させます。……もう少し……自覚をお持ちになった方がよろしいのでは?」

「気をつけます」

 アレイシアは別に怒っている様子はないようだ。

 僕は少し安堵した。その後、ふと時計を確認するとまだ予定終了時刻まで時間がある。

 まだ一緒に過ごしたい。なので提案をしてみる事にした。

「まだ予定していた時間まで余裕があります……よろしければ少しこの通りを散策しませんか?」

 アレイシアと仲を進展させるためには僕から誘うしかない。

「……わかりました。少しだけでしたら」

 アレイシアは小さく返答した。

 僕は歓喜した。その気持ちを誰かに共有したくて、後ろから気配を経っていない人のように僕とアレイシアの後ろをついてくるウェルに視線を向ける。

 ウェルにニカッと笑顔で「やったぜ!」と合図を送ると。

『はぁ……』

 と、ウェルは呆れ顔でため息をして、小さく拍手をしてくれた。

実は僕……すごく耳がいいんです〜乙女ゲームで感情のない人形と呼ばれた悪役令嬢は重度のあがり症だった〜

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