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※このお話を読むときのポイント💡
情景や、登場人物達を自分の自由に想像しながら物語を読むと、より楽しめますよ♪
第21章:文化祭準備
「ふぅ〜…、」
「これでよしっと…」
体育祭が終わって、慌ただしい日々が過ぎるかと思いきや、僕等はすぐに文化祭の準備に取りかかっていた
『琉生ー、こっちも貼れたぞー!』
〈こっちもー!〉
「おっけ、そっちいくね」
今は部員総出で、部室の壁や廊下などに展示用の年間の写真を貼り出している
一つ一つ手作業なので大変だ
ただやるべきことは、写真の現像と、額縁の用意だけだから簡単なんだが、手作業が面倒くさい
「痛っ…、」
〈え、大丈夫!?〉
「平気平気、少し画鋲を指に差しちゃっただけだよ」
〈ならいいけど…〉
『おーい夕華!早く戻ってこいよー』
『こっち写真たくさんあんだから』
〈あ、ごめんごめんー!〉
あの日からやけに二人が気になる
あの涼の日比谷さんへの目線は相当なものだった
分かり易すぎる
だからこそ、2人の距離感が異様に近いように感じてしまうのだ
いけないことだとわかってる
勘違いだってわかってる
それでも勘違いでも、そう思えてしまう
馬鹿馬鹿しい、何が恋心だ
黙々と手作業で写真を貼り出す
また二人と僕との間に大きい壁ができたようだ
向こうで楽しそうに喋る2人と、沈黙の僕
まるで朝と夜のように、騒がしく、静か
本当に壁ができて、いつか2人の世界が広がって、僕が押しつぶされてしまわないか心配だ
…僕も混ぜて、なんて言えたらよかった
陽キャのように、涼のように、朝倉のように
明るく爽やかに、一緒にやろって誘えたらどれだけ飛び跳ねて喜ぶだろう
僕にはその勇気がない、今はまだ
だから、まだこの壁を壊せない
僕自身もこの1年程で成長はしてると思う
だけど、気持ちはそう簡単に変わらないみたいだ
「よし…、今日はここまでにしよう」
みんなに声をかける
今日は部長が不在だったためだ
文化祭の準備は放課後に行われる
普段部活をやっている時間帯だ
文化祭直前の準備などは丸一日使うらしいが
僕らの場合すぐに終わってしまいそうなのが心配事のひとつである
「また明日」
校門前で2人に手を振る
三人とも別々の道だ
『またなー!』
〈まったあしたー!〉
二人は元気だなと、別れたあとに思う
それに比べ僕は日陰に咲く菫のようだ
暗い色で、でもどこか芯があって、決して折れない
そこだけは断言できる
僕は足取り早く帰宅した
今日は家族が来ているから
[お兄ちゃん、おかえりなさいっ!]
「ただいま」
変な感じだ
ずっと一人だったのに、帰ったらただいまと言ってくれる人がいる
これがどれだけ幸せなことか、あの時の僕は知らなかっただろう
〘この前は振る舞われちゃったからね!〙
〘腕によりをかけたわよ〜!〙
《よっ、と!》
父が母の持つ皿からつまみ食いをする
〘ちょっ、あなた!?〙
〘はしたない真似はよして…!w〙
《いいじゃないか、w》
ははっ、と家中が笑いの渦に呑まれた
家族は凄いなと今更ながらに思う
「ほらほら、早く食べよ、冷めちゃうよ?」
《それもそうだな!》
【いただきます!】(4人)
また一緒に食事を食べられたことに感謝をしながら、前にはできなかったご飯を味わうことに神経を注いだ
[もう帰りかぁ…]
《そうだな、琉生。春休みになったら海音だけこっちに泊まりにこさせようと思うのだが…》
《いいか?》
「もちろん、歓迎するよ」
即答だった
今まで一緒にいられなかった間を埋めるように、いられたら嬉しい
[やった!]
〘ほら!帰るよ〜〙
[またね、お兄ちゃん!]
「うん、また」
またね、と言える人がいる
笑い合える人がいる
今の全てが幸せで、これから何か不幸が起きるのではと、勘違いしてしまいそうな程だ
学校に行けば2人と話せる
家に帰ればただいまと言える相手がいる
本当に幸せなことだ
翌日、学校の授業はなく、文化祭のクラスの出し物を決めていた
〔では、クラスの出し物は劇ということで!〕
クラスとのくじ引きだったらしい
委員長は最悪のものを引き、クラスのみんなからちょっかいをかけられていた
委員長は面倒そうにしていたが、その光景も何故か微笑ましく思えた
次は役決めらしい
これもくじ引き……、今日はくじが好きらしい
ズーーン…
「まぁじかよぉおぉ…」
『ど、どした…??w』
いつも以上の戸惑い顔で尋ねられ、渋々答える
「ん、」
自分の持っていたくじを見せると、涼は吹き出した
『おまっ、wまじかよ…っ!?w』
「まじだよ、そんなに笑わなくてもいいだろ」
僕はむっとする、
『わりぃわりぃ、w』
『でもよ、お前が騎士役とか考えられなくて…っw』
「僕だってそうだよ…」
この劇はクラスの人が台本を考えたらしい
そこで主役となるのが姫役の女子と、騎士役の僕だ
涼の持っているくじは王子役
普通は王子が主役のようだが、王子は敵役のボスなのだ
あらすじを話すと、王子は姫を嫌っており、◯そうとする。
そこで、姫の護衛騎士が姫と駆け落ちをし、恋に落ちるという……
少女漫画、とは真逆のものである
駆け落ちなんて…、
僕に演じきれるだろうか…
黒板に書かれたそれぞれの役の下に名前があった
姫役は__
日比谷さんだった
「…は、!?」
おいおい、まじかよ
僕が日比谷さんと駆け落ちして、それを追う涼
ヤバい展開じゃないか
「……これは、やばそうだな…」
『そう、だな…w』
教室の端で少し赤面する日比谷さんが目の端に見えた気がした
第22章涙なんていらない
「……ねぇ、本当に僕が騎士役やらなきゃ駄目…?」
役決めの日から2日後
僕は懲りずに台本を作った生徒に辞めてもいいかとせがんでいる
{だ、だめですっ!}
{私、私!お二人のヲタクなのですっ!}
「……は?」
{あの教室で陽キャ共をぶっ◯ぶした姿…!✨️}
{かっこよすぎましたっ…!}
{なので駄目です!}
キラキラとした眼で言ってくる
「……まさか、このくじって君が工作したの?」
カマをかけた
{なっ、!何故バレた!?}
{まさか誰かバラしたか…!?}
「あ、いや、カマをかけただけだから…」
わかりやすい子だな、とめっちゃ思う
{ひ、酷いぞ…!?}
「工作をした君にだけは言われたくないね」
{ぐぬっ…}
「まあ、いいよ、下手でも文句言わないでよね」
{それはもちろんっ!}
「…ならいいよ、」
僕としても、少しばかり嬉しい状況だ
騎士と姫は最後にキスのフリをするシーンがある
緊張ばかりだが、楽しみなのも嘘じゃない
だからこんなにも本気なのだ
「あ、そういえば衣装の材料がないって言ってたな…」
僕は衣装担当の子に聞いた
「何がないんだっけ?」
〚あ、これとこれと…__〛
結構あるな、と思ったが、僕が着る衣装だったので買いに行こうと思ったのだ
本番まで残り2週間
練習まで含めると時間があまりない
写真部の文化祭の用意はもう既に終わった
ゴンッ
「あ、」
ポケットからスマホが落ちた
ふと付いた待ち受けは体育祭のときに涼と日比谷さんと肩を組んだ写真だ
僕と日比谷さんの後ろから涼が走り込んできて肩を組まれた
僕と日比谷さんは少しよろめきながらも苦笑い
こんな所を部長に撮られたのだ
「そうだ…、買い物日比谷さんも誘おうかな…」
「たしか、日比谷さんの衣装もレースが足りなかったよね?」
横にいる子に聞く
〚そうだね、まさか買ってきてくれるの!?✨️〛
「ああ、僕らの着るものだしね、君達はそっちに集中しててよ」
〚ありがとー!!〛
感謝されるのは慣れてない
けど、悪くもないと感じてしまう
「日比谷さん、僕らの衣装の材料が足りないんだけど一緒に買いに行く?」
〈え!行きたい!✨️〉
「そっか、じゃあ行こう」
「涼、少し出るから先生来たら言っといて」
『おう!』
僕等は校門を抜けて、横に並び歩く
「楽しみだね、文化祭」
〈そうだね!最初で最後のみんなとの文化祭…最高のものにしなくちゃっ!〉
「そうだね」
心無しか、少し自然に笑えていたと思う
本当に日比谷さんに出会って環境が変わった
感謝してもしきれない
先程同じクラスの生徒が言っていた、教室でのあの事件は僕一人だったらやり返すこともできなかっただろう
体育祭だって、2度も走らなかっただろう
本当にこの1年で僕は変わった
こんな事を考えたいたら、店に着いてしまった
「買えたね」
〈そーだね!以外に多くなっちゃった…〉
「僕のが多かったからね」
「一個持つよ」
〈えっ、いいよいいよ!〉
「いいの、僕のが多いんだから」
〈じゃあ…これ、持って?〉
日比谷さんが渡してきたのは日比谷さんが着る予定の衣装の材料だった
「え、こっちじゃなくて、そっちの…_」
そこで気づいた
日比谷さんの顔が真っ赤だ
熟したりんごのように
茹だっている
「あ、…_//」
「わ、わかった、」
意味は分からなかったけれど、日比谷さんなりのメッセージがあるのだろうけど
「そういえば、今度春休みに妹が家に来るんだ」
「その時日比谷さんと涼も…___」
そう、言いかけて止まった
信じられない光景を眼にして
道路の真ん中に子供
ボールを持っている
それを見た日比谷さんが荷物を放り投げ、駆け出していた
「っ〜…_!?!?」
「日比谷さ…__!!!」
〈琉生っ!!この子!〉
そう言って僕の方に子どもを突き飛ばした
「っ〜!!」
手を伸ばす
僕が顔を上げた時、日比谷さんは苦しまぎれに微笑んでいた
ドンッ__
鈍い音が響く
僕が伸ばした手は誰にも取られなかった
日比谷さんは先程まで子どもがいた所で
血溜まりの上で寝ている
「ひ、ひびや、さ…ん、、?」
「いや…、う、うそ、だよ、ね…?」
「ひ、びやさ…_」
そこでハッとする
そんなことより早く救急車を…!!
「誰か!誰かっ!!」
「救急車を呼んでくださいっ…!!」
僕の声だとは思えないほど大きな声だったと思う
その場に居合わせた人達が電話をかけてくれた
僕は日比谷さんの方へ駆け寄る
「日比谷さんっ、日比谷さんっ!」
「日比谷さんっ……!!」
何度も何度も名前を呼ぶ
さっきまであんなに元気だった、あんなに笑ってた彼女の顔は白く、目を閉じたままだった
…次回で終わりかもです、w
急いで書いたから、展開めちゃ早いですw
ごめんなさい💦
次回第23章:一夏の花火のような恋をした