大罪の悪魔達の過去
暴食
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私は33歳。
彼は39歳。
出会ったのは私が23歳の頃。
彼が外の路地裏で静かに泣いていた。
人々は彼を話し掛けることなんてない。
見て見ぬふりをしているんだわ。
私はそんな彼に近付いて手を差し伸べた。
彼の両親には会ったことも、何か彼から聞いたことはない。
私の母親は癌で亡くなって、父親は母親を追うかのように急死した。
彼は気分転換に山でも登ろう。と私に提案した。『面白そうね。』そう彼に言い私達は次の日に行ってみた。
彼が選んだのは冬山だった。
私は少し不安な気がしたが彼がいるなら大丈夫だろう。と思い厚着をして行った。
数時間後
私達は迷った。
都合良くあった穴の中に二人で入った。
その途端に吹雪が吹き始める。
食べ物はあるから大丈夫だろう。と彼の側に近寄り、温め合いながら。
何日経ったか分からない。
数時間しか経ってないのかもしれない。
食料がいつの間にか尽きていた。
私は無意識のうちに。
『お腹が空いた。』
と言っていた。
ふと彼を見ると、彼は彼を狂ってしまったのか微笑んでいてナイフを取り出した。
日汗が私の頬を伝う。
彼は予想と違う動きをしていた。
彼は自分の心臓にナイフを突き立てた。
私は状況が理解できず、動けなかった。
彼は私に向かって「ボクを…食べなさい。」
と胸を押さえながら言った。
「 。 」
状態を理解して、私は彼に近付き抱きしめた。脈を測ると脈はもう既になかった。
それでも彼は微笑んで死んでいた。
まるでしんでいなさそうな顔をしていた。
私のせいで死んだのに。私があんな事を言ったから死んだのに彼は泣きもせず、微笑んでいる。私は自分に嫌悪感を抱いた。
そして私は泣きながら彼を食べた。
柔らかい感触。広がる茜色の雪。どんどん黒ずんでいく雪。止む吹雪。
彼だったものは綺麗な白色になった。
彼が着ていた服を着て、ボクは彼と一体化になりました。
足の感覚はしなくて、何かを目指して歩いているわけではない。もう助かりたいとも思えない。
せめて外に出て彼といい景色をみようと、上に登っていく。
何処からヘリコプターの音が聞こえた。
私は彼だったものを持って走り出した。
決して見つからないように。
頂上に着いた。私は彼だったものすら食べてしまった。
これでいっしょ。
冬山から降りてる途中上から凄い音が聞こえた。雪が壊れた…雪崩だ。
私は立ち止まってその景色を見て、目を瞑る。凄い衝撃が走った後、目を開けた時には視界も体中も白い。呼吸の仕方が分からない。
それでもふたりで息をしていた。きっと。
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