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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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〜前書き〜

こんにちは、雪夜です。今回は前回の続きです。前回同様、地雷や吐く表現などが苦手な方はバックしてください。

それでは、本編どうぞ

〜本編〜

一通り片付けが終わり、俺はソファーに体重を預けるように沈み込んだ。疲れた、、、真逆看病がこんなに大変だったなんてな、、、大きく呼吸をして、太宰をちらりと見る。悪夢でも見ているのか、熱が辛いのか、顔を顰めて苦しそうに呻き声を出す。

「、、、太宰?」

うっすらと目を開けた。起こしてしまったんだろうか、、、太宰の目は何処か虚ろで此方を見ずに口をパクパクと動かしている。何かを伝えようとしているんだ。でも、喉がやられてる所為か、声が全く出ていなかった。俺はソファーから立ち上がり、傍に行った。

「どうした?」

「、、、中也、、、御免、、、迷惑、、、かけて、、、」

微かに出てきた弱々しい声で呟く。こんなに弱ってる太宰は俺も初めて見るから、どうすればいいのか分からない。

「、、、気にすんな。俺がしたくてそうしてるだけだ」

「中也、、、一つ、、、お願い、、、」

「ん?何だ?」

「、、、手、、、握って、、、?」

そっと布団の隙間から太宰の手が出てきた。寝ている間、ずっと固く握っていたのか、掌に爪の跡がうっすらと付いている。差し出された手を俺は優しく包み込んでやる。力が上手く入らない指がぴくりと動き、そっと握り返した。そして、自分の額に俺の手を当て、柔らかく微笑んだ。

「、、、ふふっ、、、中也の手、、、冷た、、、」

「あー、、、先刻食器洗ったからな、、、」

「きもちぃ、、、」

「、、、ははっ、、、擽ってぇよ」

「、、、不思議だなぁ、、、中也の手、、、凄く、、、安心する、、、」

「そうか?」

「ね、、、此処、、、来て、、、?」

ポンポンと布団を叩き、来るように促す。太宰は少し横にずれて俺が入るスペースを作った。風邪、、、伝染らねぇか、、、?其れ、、、でも、太宰の頼みだ。聞いてやろう。

「此処か?」

「うん、、、其処、、、」

「なぁ、、、何で俺を____」

「ん」

ギュッと抱きしめられる。悔しいが、太宰の懐にすっぽりと俺は収まった。普通なら、俺は腹に一発入れていただろう。だが、今回は違う。太宰の心音が落ち着いていくのが分かり、安心した顔で眠りについた事を確認したら、離れたくても、離れられない。

「、、、熱いな、、、体、、、」

心做しか少しドキドキしてしまっている。太宰の体温、匂い、心音、呼吸音、全てを感じると、生きていると安心出来る。何時居なくなってもおかしくない、此奴のことだ、今だって考えているだろう。

「、、、ちゅ、、、ゃ、、、」

「?」

「、、、だぃ、、、すき、、、」

「、、、っ!」

「、、、ふふっ、、、顔、、、真っ赤、、、」

起きてたのかよ、、、!と言いかけてハッと口を閉じる。此奴、未だ寝てる、、、

「、、、夢ん中でも、俺は俺なんだな。、、、あーぁ、、、 」

寝言に反応してしまうなんて、、、顔が熱い、此れはきっと太宰の体温で暖かくなっているからだ。照れてるとか、恥ずかしいとか、そんなものではないと必死に言い聞かせる。

「俺も、、、素直になれば、、、喧嘩、、、無くなんのかな、、、」

「、、、ぅ、、、ん、、、? 」

「あ、、、悪ぃ、起こしたか?」

「んーん、、、起きた、、、」

「体調はどうだ? 」

「少しは、、、マシ、、、」

「そっか、なら良かった。何か食べられそうか?」

「食欲は、、、無い、、、」

「そうか、、、吐き気は?」

「、、、一寸だけ」

「無理すんなよ?早く元気になって、彼奴等の仕事手伝わねぇといけねぇんだろ?」

「、、、うん、そうだね、、、」

幾分か良くなっているのは本当みたいだな。食欲は無くとも何か食べさせないと薬を飲ませられない。俺は冷蔵庫からゼリーを取って少しづつ食べさせる。

「ん、、、つめたぁ、、、」

「そりゃ、冷蔵庫入れといたからな」

「、、、ん”くっ、、、ぅえっ、、、」

「あ、、、!大丈夫か!?」

「へぃ、、、き、、、っん、、、ぇっ、、、」

ゼリーでも吐いちゃうのか、、、軽い物も食べれないんじゃ如何すればいいか、、、取り敢えず食べられたので、薬を飲ませて片付けに行く。そう云えば、今日は時計を全く見ていないな。そう思って時計に目をやると二十三時一寸過ぎ位だった。

「、、、っと、明日朝早いんだった、、、」

明日は姐さんと一緒に仕事だ。でも、太宰が一人で大丈夫だろうか、、、

「寝てる間に行くか、、、代わりを呼んどくか、、、」

兎に角一人にさせる訳にはいかない。人虎辺りでも呼んでおこう。

____ピンポーン____

「あ?こんな時間に誰だ?」

突然インターホンが鳴る。こんな時間なので少し警戒しつつ玄関の扉を慎重に開けていく。そこに居たのは、、、

「あ、中也さん。御免なさい、こんな時間に、、、」

「何だ、、、人虎か、、、如何した?」

「えっと、此れ、太宰さんに渡しておいてくれませんか?」

人虎が持ってんのは 見舞いの品か?袋の中は水や経口補水液などが沢山詰まっていた。

「あぁ、態々有難う。そうだ、明日お前暇か?」

「え?暇ですけど、、、」

「なら良かった。俺の代わりに太宰の傍に居て欲しいんだけど頼めるか?俺が帰ってくる迄でいい」

珍しく俺から頼み事何かするからだろうか。人虎は驚いた顔で少し考えてから頷いた。

「分かりました。何時頃来れば良いですか?」

「結構朝早いんだよなぁ、、、人虎の無理のない程度で良い」

「心配有難う御座います。成る可く早く来れるようにしますね」

「あぁ、頼む」


次の日の朝、ぐっすり寝ている太宰の頭を軽く撫でて、俺は仕事へ行った。

〜次回へ続く〜

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