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鷹槻れん

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鷹槻れん

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latte
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(きっと、晴永さんと別れろとか……そういう話……だよ、ね?)
そうとしか思えない。
(どうして自分で言ってくれないの?)
これでは、瑠璃香が晴永の要求を受け入れない困った女だと思われているみたいで、あまりにもつらい。
(話してくれたら……私、ちゃんと――晴永さんから離れるのに)
そう思った途端、胸がズキンと痛んだ。
(泣いちゃ、……ダメ)
ここで涙を流したら負けな気がした。
グッと鞄を持つ手に力を込めて、涙をこらえながら山根を見る。
「恐れ入りますが、ご同行いただけますでしょうか」
山根は、あくまでも穏やかな口調で瑠璃香を誘ってきた。
だが、当然のこと、断れる空気ではない。
(本音を言えば行きたくない。でも――)
ほんのわずかに迷ってから、瑠璃香は頷いた。
「……分かりました」
「ありがとうございます。こちらへ」
山根に促され、瑠璃香はあとに続いた。
案内されたのは、駅から少し離れた場所にある落ち着いた雰囲気の喫茶店だった。
外観からして高級感があり、普段の自分では足を踏み入れることのないような店だと分かる。
山根は迷いなく店内へ入り、店員に軽く会釈をしてから奥へと進んでいく。
瑠璃香も無言で山根に続いた。
通されたのは、周囲の視線を遮る半個室の席だった。
「こちらへ」
そう言って山根が一歩退いた。その先に――ひとりの女性が座っていた。
背筋を伸ばし、静かにカップを手にしている。
その佇まいだけで、この場の空気が一段と引き締まるようだった。
角宮清香。会社ではそう呼ばれているけれど、実際は晴永と同じ新沼姓の、晴永の母親だと聞かされていた人物。
一瞬で喉が乾く。
ここに呼び出された意味を、嫌でも想像してしまう。
きっと、「息子と別れなさい」――そう言われるのだ。
だって晴永には、家柄の釣り合った、美しい許嫁がいるのだから。瑠璃香なんて邪魔なだけだ。
「小笹瑠璃香さんね?」
清香はゆっくりと視線を上げた。
その目が、まっすぐに瑠璃香を射抜く。
「……はい」
自然と背筋が伸びる。
「立っていられると、見上げなきゃいけなくて首が痛いわ。座ってくれる?」
語尾に疑問符はついていても、有無を言わせない口調だった。
瑠璃香は小さく頷き、向かいの席に腰を下ろす。
近付いてきた店員に「彼女にも同じものを」と告げた清香に、瑠璃香は「要りません」とも「珈琲より紅茶の方が好きです」とも言えるはずがなかった。
店員はすぐさま湯気のくゆる珈琲を持ってくると、瑠璃香の前へ静かに置く。
香り立つ珈琲の香ばしい香りも、今はほとんど意識に入ってこなかった。
「……」
言葉が続かないまま、張り詰めた空気だけが場に満ちる。
何を言われるのか。
晴永との関係をどこまで知られているのか。
分からないまま、ただ時間だけが過ぎていく。
やがて清香は、カップをソーサーに戻し――静かな声音で瑠璃香に語り掛けてきた。
「瑠璃香さん。何も聞かずに、これから私の言う場所へ行ってもらえる?」
「……え?」
余りに予想外の言葉に、瑠璃香が思わず顔を上げると、清香はまっすぐに瑠璃香を見つめたまま、続けた。
「今からすぐそこへ出向いて、会って欲しい人がいるの」
テーブルの上に、すっと一枚の名刺が差し出される。
そこに記されているのは、イタリアンレストランの名前。
――『Cielo Sereno』
コメント
2件
どういうこと? まさか許嫁が待ち構えてたり!?
やばい、清香さんの登場シーン、重厚すぎてゾクゾクしたわ……。瑠璃香の「泣いちゃダメ」って必死なとことか、心臓ぎゅーってなった。で、別れ話かと思いきやまさかのレストランの名刺? 予想完全に裏切られて続きが気になりすぎる。清香さん、何を考えてるんだろ……。次が待ち遠しい🔥