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家の中が静まりかえり、夜の時間が深まる中、はるの家で過ごしていたかなは、いつの間にか不安な気持ちに包まれていた。昼間は安心していたはずなのに、夜になると心の奥底で不安や孤独がじわじわと広がっていく。ふとした瞬間、心が少しだけ震えるのを感じ、かなは思わず布団の中で目を閉じたまま、深呼吸を繰り返した。
けれど、どうしてもその不安を振り払うことができず、思い切って目を開けると、隣で寝ているはるの姿が見える。はるはすでに寝息を立てて静かに眠っていたが、その安心感が逆にかなの胸を締め付けた。
「はる…」
そっとその名前を呟くと、何故か涙が溢れそうになった。自分がこれまで他人に甘えることに慣れていないせいか、この優しさに触れると心が弱くなりそうで怖くなる。だけど、このままでは眠れない気がして、意を決して布団からそっと出て、はるの方に近づいた。
「はる…」
かなは少しだけ震える声で名前を呼び、はるの胸にそっと顔を寄せた。まるで、暗闇の中で一番大切な光を求めるように。
その音に気づいたはるは、すぐに目を開け、かなが不安そうな顔をしているのに気づく。寝ぼけていた顔が一瞬で真剣なものに変わり、はるは優しくかなを抱き寄せた。
「かな、どうしたの?」
「…ごめん、なんか、怖くて…」
かなはそっと顔を埋めると、少しだけ震える肩が感じられた。それを見たはるは、まるで自分の心が痛むような感覚に襲われる。
「怖かったんだね…大丈夫、私がいるよ。」
はるはそのままかなをぎゅっと抱きしめ、背中を優しくさすった。かなはその温かさに包まれ、少しずつ安心感が広がっていった。
「ここにいるよ、絶対に離さないから。」
その言葉が、かなの不安を一気に解消していく。少しずつ、胸の奥が温かくなり、涙も落ち着いていった。
そのまま、はるはかなに寄り添いながら、そっと言葉を続けた。
「眠れそう?」
かなはうなずき、まるで子供のように、はるの腕の中で少し甘えてみることに決めた。
「うん、少しだけ…甘えてもいい?」
「もちろん、ずっと甘えてていいよ。」
その言葉に、かなは顔を赤らめながらも、少しだけ微笑みを浮かべた。そして、はるの温かい腕に包まれたまま、ようやく目を閉じる。