テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
おまる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
高瀬くんの家で迎える、初めての夜
お茶を飲み終えた後
「先にシャワー浴びてきちゃってください」と促され、私は彼のTシャツとスウェットを借りることになった。
(……大きい。それに、彼の匂いがする)
鏡に映る自分は、袖が余って指先しか出ていない、およそ「課長」とは程遠い姿。
気恥ずかしさを抱えながらリビングに戻ると
そこにはキッチンで手際よく包丁を動かす高瀬くんの後姿があった。
「あ、先輩、お疲れ様です。……って、」
振り返った高瀬くんが、私の姿を見た瞬間、フリーズした。
手元でトントンと鳴っていたまな板の音が止まる。
「……ねえ、やっぱり大きすぎたかしら?だらしないなく見えない?」
「……いや、逆です。……マジで反則っすね、それ…」
彼はパッと目を逸らし、耳の裏まで真っ赤にしながら包丁をまな板に置いた。
「変だって言いたいんでしょ?」
思わず唇を尖らせて言い返した。
いつもより大きなサイズの袖口が揺れるのが気になって仕方がない。
まるで子どもみたいで恥ずかしい。
しかし高瀬くんの反応は予想外だった。
「……いえ!全然そんなことないです!」彼は勢いよく首を横に振った。顔が赤くなりすぎて湯気が出そうなくらいだ。「むしろ……正直言うと」
彼は一拍置いて深呼吸すると、少し声を低くして言った。
「可愛すぎて……もし先輩が僕の彼女だったら……今すぐ襲ってるかも、なんて」
「なっ―――!」衝撃的な言葉に思考が停止した。心臓が急激に早鐘を打ち始め、頬が熱くなるのを感じる。まさかこんな直球で言われるとは!
高瀬くんの耳は真っ赤だった。きっと私も同じくらい赤くなっているんだろう。
「ちょ、ちょっと待ってよ……何言ってんの!?」
声が震えてるのに気づいて慌てて平静を装う。「冗談にもほどがあるわよ。私はあなたの上司なんだから……」
「わかっています」彼は素早く言った。「だからこそ余計に辛いんです」
彼は本当に困ったように眉を下げた。「こんな可愛い姿見せられたら自制が効かなくなるってわかってました。だからなるべく見ないようにしようと思ったんですけど……失敗しました」
「な、なんで見る必要あるのよ!」
私の頭の中はぐちゃぐちゃで、ただ必死に言葉を探している。
「だって……だって先輩のこと好きなんですもん」
突然の告白に息が詰まった。
「ずっと前から……課長としても尊敬していますけど、それ以上に女性として好きなんです」
高瀬くんの瞳はまっすぐに私を見つめていた。
嘘偽りのない誠実さが伝わってくる。
今まで知らなかった彼の一面がそこにあった。
「バッ、バカじゃないの……」
やっと絞り出した言葉はひどく小さかった。
本当は何て言えばいいのか分からない。
「私は……ただの部下として接してきたつもりなのに」