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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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今日の朝ごはんはお餅。

多分どの家庭も正月はお餅なのでは無いだろうか。

いや、そんなことも無いか…

「古佐くん!!みかんってまだ余ってるよね?」

「うん」

そう答えると畑葉さんは足早にみかんを取りに行く。

まさかとは思うが、昨日言っていたみかん餅を試すつもりだろうか?


「いただきま〜す!!」

案の定、畑葉さんはみかんとお餅を共に口の中に運ぶ。

「ん〜っ..!!」

「美味しい!!美味しいよ!」

そう言う畑葉さんを僕は疑心暗鬼の目で見る。

そのせいか

「古佐くんも食べてみてよ!!」

と口に突っ込まれる。

「あれ?案外美味しい…」

「でしょ?!」

「新発見だ〜!!」

でも今思えばいちご大福みたいな感じなのだろうか。

じゃあ他の果物もワンチャン…?

「もう冬休みも終わりだね…」

「しかも休み明けから私の嫌なアレがあるんだよ?!」

僕の肩を掴み、

揺らしながらそんなことを言う。

「アレ?」

「てか酔う…」

「あっ、ごめん…」

「じゃなくて!!スキーだよ!!スキー!」

あの一件から畑葉さんはどうやらスキーが嫌いになったらしい。

いや、でもあれは自業自得のような…

だって自分で制御出来なかったのが悪いし…

でもそんなことを言うと絶対に『私のせいじゃないから!!』なんて言いそう。

あの頬を膨らました顔で。

そう独りでに思う。




「えー、2回目のスキー授業だ」

「前回はなレスキュー隊に運ばれた人も居たが…」

「今回もみんな安全にな〜」

前と同じくエコーのかかった先生の声。

しかも畑葉さんのあの一件をイジるような発言をしていて気に食わない。

しかもこっちをチラチラと見てくるのも辞めて欲しい。


リフト乗り場に行くと隣からは

「膝裏に当たったら乗る…当たったら乗る……」

と呪文を唱えているような声が聞こえた。

それのおかげか畑葉さんは1人で、

僕の助け要らずで、

リフトに乗ることが出来た。

「古佐くん!!見た?!」

「乗れた!!乗れたよ!!」

「凄いね」

少し冷たく返すと

「もうちょっと褒めてくれてもいいじゃん…」

と小さな呟き声が聞こえた。

でも残念ながら僕は人を褒めるのは上手では無い。

なんだかこっちが気恥ずかしくなってしまうから。

「あっ…!」

その時、畑葉さんがリフトの上で少し暴れるような仕草をした。

「何?暴れたら危ないよ───」

「って、あれ?ストックは?」

気づくと畑葉さんは先程まで持っていたはずのストックを持っていなかった。

「落としちゃった…」

そんな声を聞き、

通ってきたリフトの道下を見る。

と、畑葉さんのストックが落ちていた。

しかも両方とも。

「…後で取りに行こっか」

「うん…」

落ち込む畑葉さん。

でもそれを見た僕はなぜか可愛いと思ってしまう。

不甲斐ない…


「古佐くん!!どうしよう…!!」

またもや隣で声を上げる畑葉さん。

「ストック無かったらリフト降りられないんじゃ…」

そんなことを言う。

リフト降りる時なんて逆にストック無い方が降りやすい気が…

そう心で思いながら

「大丈夫だと思うよ」

と返す。

とまたもや不機嫌顔。

どうして欲しいんだか…

そんな不安も忘れ、

リフトを降りる際の畑葉さんは降りることに成功した。

なんなら僕の方が転びそうで危なかった。

「リフト降りられたよ!!」

「でも滑る時は流石にストック無いと止まれないし…」

さっきから肩を落として落ち込む姿ばかりを見ている気がする。

「じゃあ僕の貸してあげるよ」

そう言いながら自分のストックを渡す。

「でも古佐くん転んだらそのまま前の私みたいに崖下まで行っちゃわない?」

「大丈夫だって」

「というか前回のスキーでは崖下まで行ってないし」

そう笑いながら声を返すが、

畑葉さんの表情は晴れないまま。


「早速滑ろっか」

そう畑葉さんに伝える。

と、畑葉さんは前回と比べ物にならないくらい上手になっていた。

「え、練習でもした?」

「してない!!けどなんかコツ掴んだかも!」

それ滑り始めに言う?

もう少ししてから言うもんじゃないの?

そう思っている間も畑葉さんはスイスイと滑っていく。

特に教えてもないのに上達が早すぎる…


10回ほどリフトに乗って滑ってを繰り返した後、丁度いい時間になった。

「楽しかったのにもう帰宅…」

本当に前回とは何もかもが違う。

まるで人が変わったようだ。

「畑葉さん上手だったね」

「でしょ?!」

「しかも今日、私1回も転んで無いし!!」

「なんなら古佐くんが転んでたっていうか…」

褒められると急に煽り出す。

これが畑葉さんの特徴。

しかも今の畑葉さんはかなり自分を上に見ている。

まぁ、楽しければなんでもいいけど…

「そういえば畑葉さんのストック無事で良かったね」

「あ!そうじゃん!!」

「盗まれてでもしてたらどうしようって思ってた…!!」

そう。

畑葉さんが落としたストックは無事に畑葉さんの元へ帰ってきた。

真っ白なストックで、

しかも雪上に落ちたせいか、

探すのは少しばかり大変だったが。

「畑葉さん、今日楽しかった?」

「うん!!だってまた行きたいもん!!」

微笑みを含めて声を掛けると、

数百倍程の笑顔を返してきた。

いやはや恋心クラッシャーである畑葉さんは色々と恐ろしい…

僕が狐になった日は、君の命日だった。

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