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#BL
kaede🍁
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おその★
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この日、阿部は事務所を訪れていた。
マネージャーから「一人で来てほしい」とだけ伝えられている。
目黒も一緒に来ると言ってくれたが、1人で大丈夫と断った。
きっと今頃は、ラウールと服巡りかな。
___________
担当マネージャーに案内され、会議室の前まで来る。
「失礼します。」
ドアを開けた瞬間、阿部は足を止めた。
部屋には、事務所の役員クラスと思われる男性が一人。
医師らしい男性が一人。
そして、スーツ姿の警察関係者が一人。
さらに――。
「ふっか?」
「翔太?」
深澤と渡辺が静かに椅子へ座っていた。
「え?」
「なんで二人が……。」
渡辺は苦笑いを浮かべる。
「俺らも、さっき急に呼ばれた。」
深澤も肩をすくめた。
「理由はまだ聞いてない。」
阿部は戸惑いながら空いている席へ腰を下ろした。
部屋の空気は重い。
役員の男性が全員を見回し、静かに口を開いた。
「まず結論からお伝えします。」
一呼吸置く。
「今回の一連の事案について、原因が特定されました。」
その言葉に、阿部たちは一斉に顔を上げる。
「……原因。」
役員は頷いた。
隣の警察官が資料を机へ置く。
「ある音楽番組の収録現場で配布されたペットボトル飲料。」
「その一部に、海外で違法に流通している薬物が混入されていました。」
阿部は言葉を失う。
深澤も渡辺も、何も言えない。
役員は資料を一枚めくる。
「犯人は、その番組スタッフの一人でした。」
「弊社に対して強い私怨を抱いていたことが判明しています。」
警察官が静かに続ける。
「本人はすでに身柄を確保しています。」
「取り調べにも応じています。」
「そして。」
「誰へ薬物入りのペットボトルを渡したかも、すべて供述しています。」
部屋の空気がさらに張りつめる。
役員は三人を見つめた。
「皆さんは、その人物から直接ペットボトルを受け取っていました。」
三人は息をのむ。
「また、事務所内で確認されている他の被害者についても、同様に接触が確認されています。」
阿部は、自分が収録の日に何気なく受け取ったペットボトルを思い出す。
何も疑わずに飲んだ。
ただ、それだけだった。
役員は静かな声で続ける。
「皆さんに責任は一切ありません。」
「これは明確な犯罪被害です。」
「弊社としても全面的に支援します。」
阿部はゆっくりと拳を握る。
原因が分かった。
自分が悪かったわけではない。
そう分かっても、胸の奥は少しも軽くならなかった。
この出来事が、自分や仲間たちの人生を大きく変えてしまった事実だけは、何も変わらないのだから。
会議室には重い沈黙が流れ続けていた。
コメント
1件
みらさん、第22話読みました……。 会議室の重い空気がページ越しにひしひしと伝わってきました。原因がついに特定されたのに、阿部さんの「胸の奥は少しも軽くならなかった」という一文がすごく刺さりました。自分に責任がなくても、人生が変わってしまった事実は何も変わらない——そのもどかしさと虚しさが、読んでいる私の胸にもずしんと来ました。 ふっかと翔太が先に呼ばれていたのも気になります。次の展開がとても気になりますね。