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スタッフの案内により私達はセレモニーホールの駐車場に移動した。
「大和様の車に…」
黄色いSUVの車の助手席に誰かの顔が見えた。
「はっ……!」持ち主である大和が一番に驚いていた。
「じいちゃん…!」
助手席には祖父の遺体があったのだ。どうやら外を歩いていたスタッフが偶然見つけたという。
「とりあえず、遺体の方はスタッフに任せましょう。俺達は俺達でなんとかするしか…」
「そう…ですね…」康介は言った。
私達は式場の前にある休憩スペースに戻った。そしてそこには私の父と母の姿があった。
「どうしたんだ!」兄の康介に似た渋い声で父の康一はそう言う。近くには華奢で白いきれいな肌を持った母の由紀子の姿があった。
「父さん…それが…」兄の陽翔は今までのことを父親に話した。
「そうか…警察には?」
「いや」
「まあ見つかったら通報したところでだろうな…」康一はそういいながらため息を付いた。
「というか、じいちゃんをあーやったのって誰だよ!」大和は突然そう叫んだ。
全員の中で沈黙が流れる。
「俺等の中かもしくはスタッフの方ということになるが…」陽翔が口を開いた。
「まだ時間はあるし…犯人がこれからなにするかわからない…」私は言った。
「犯人探しってことか…!」大和は嬉しそうに言った。
「なにそんな嬉しそうにしてんの」と私。
それから私達は遺体を運んだその犯人を探すこととなった。
父からの情報によると今日、セレモニーホールのスタッフの数は5人ほど。しかし、受付の方以外は深く関わってないことが分かった。そして仕事をしていたアリバイも分かった。よって私達葬儀に参列する予定の人の中で犯人がいることが分かった。
陽翔「とりあえず、今日一日の行動について話してもらいましょう。まず、大和」
大和「え〜俺?俺は連絡していた通り、仕事の関係で葬儀が始まる2時間前に来た」
陽翔「葬儀の時間って…」
康一「10時から」
陽翔「ありがとう。それじゃあ8時?」
大和「ああ。そう。そんで、着いたときに電話がなったからそれに出た。確かそれが〜8:03頃だった気がする」
陽翔「じゃあスマホを」
大和「ああ」
そう言って大和は自分のスマホを陽翔に渡す。
陽翔「ああ。確かに。8:03だな。編集長とは?」
大和「ん?あ〜俺の友人が最近編集長になったのよ。で、あいつ自慢しやがってさ。そんで、前あいつと飲みにった時、勝手に変えられたんだよ」
大和の仕事はパン屋の店員と聞いている。どうやら自分からパン屋の仕事を手伝うと言ったらしい。葬式の場合は休みが基本だが。
陽翔「まあわかった。それからは?」
大和「そっから〜電話してたら、突然車のドアをドンドン!って叩かれたんだよ。んで、鍵開けろっつうから開けてやったら突然、バチバチってなってそっから知らない」
涼夏「その人の顔とかは?」
大和「いや〜覚えてねえや〜いけねえ…でも仮面被ってたのは確か」
陽翔「ふうん。なるほどな。スタンガンでやられたのか」
大和「ああ。多分」
康介「口挟んですいません。犯人はどうしてこんなことをしたのでしょうか?」
陽翔「わかりません。ですがきっと思惑があったのでしょう。犯人なりに。それを解明するのも犯人探しの一つです」
康介「ははあ。恐れ入ります」
花田(紬)「そういえば私、見ました。人影を」
陽翔「紬!?本当か?」
花田「うん。それは―――」