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junp_Sn-Fk.
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#二次創作
💛side
入学してから二週間。
教室の空気は少しずつ落ち着き始めていた。
誰が誰と仲がいいのか。
昼を一緒に食べる相手。
放課後に残るグループ。
そんなものが自然と出来上がっていく。
俺は気づけば、隣の席の辰哉といる時間が一番長くなっていた。
特別な理由はない。
ただ、気づいたら隣にいた。
それだけだった。
💜「照」
💛「ん?」
💜「シャーペン貸して」
💛「昨日返しただろ」
💜「なくした」
💛「二日連続?」
💜「才能じゃない?」
💛「威張ることじゃない」
呆れながらケースを渡す。
辰哉は悪びれる様子もなく笑った。
💜「ありがと」
こんなやり取りも、いつの間にか日常になっていた。
六時間目。
春の風は眠気を運んでくる。
教師の声は遠く、黒板に書かれる文字だけが規則正しく増えていく。
俺はノートを書き写しながら、隣へ視線を向けた。
案の定。
辰哉は眠っていた。
腕を枕にして、静かな寝息を立てている。
器用なやつだ。
先生にも気づかれない程度に眠る。
そのくせ、チャイムが鳴る直前になると目を覚ます。
本当に不思議だった。
先生がこちらへ歩いてくる。
俺は小さく肘で辰哉をつついた。
💛「起きろ」
💜「……ん」
目を開けた辰哉は、何事もなかったように教科書を開いた。
その三秒後。
💜「助かった」
小声で笑う。
💛「今度から寝るな」
💜「努力する」
💛「信用ない」
💜「俺も」
思わず吹き出した。
笑いを堪える俺を見て、辰哉も笑う。
窓の外では桜が散り始めていた。
春は少しずつ形を変えていく。
それなのに、隣で笑うこいつだけは、毎日同じ温度で笑っていた。
放課後。
昇降口で靴を履き替えていると、奏が後ろから声を掛けた。
💜「照って電車?」
💛「いや、自転車」
💜「そっか」
少しだけ残念そうに笑う。
💛「辰哉は?」
💜「歩き」
💛「家遠い?」
💜「二十分くらい」
俺は少し考えた。
自転車なら五分も掛からない距離。
でも今日は急ぐ用事もない。
💛「途中まで押して帰る」
💜「え?」
💛「どうせ暇だし」
一瞬だけ驚いた顔をしたあと、辰哉は嬉しそうに笑った。
💜「じゃあ、一緒帰ろ」
夕方。
オレンジ色の光が住宅街を包む。
自転車を押しながら歩く。
車も少ない。
聞こえるのは鳥の声と、タイヤがアスファルトを擦る音だけ。
💜「高校どう?」
💛「思ってたより楽しい」
💜「だよな」
💛「辰哉は?」
💜「隣がお前でよかった」
何気なく言われた一言だった。
でも、その言葉は思ったより胸に残った。
💛「俺も」
照れ隠しみたいに短く返す。
辰哉は満足そうに笑った。
その横顔を見ていると、不思議と心が落ち着く。
沈黙が苦じゃない。
何も話さなくても隣にいられる。
そんな相手は初めてだった。
💜side
照は静かなやつだった。
最初は話しかけづらいと思った。
でも違った。
口数が少ないだけで、ちゃんと人の話を聞いてくれる。
困ってる人がいたら、気づかれないように手を貸す。
笑う時も大げさじゃない。
少しだけ口元が緩む。
その笑い方が、なんだか好きだった。
今日もシャーペンを借りた。
正直、なくしてはいない。
話しかける理由が欲しかっただけ。
そんなこと、言えるわけないけど。
帰り道。
照が自転車を押して歩いてくれた。
本当は五分で帰れる家まで、今日は二十分。
遠回り。
でも、その時間が惜しいなんて思わなかった。
歩道に伸びる二人分の影。
歩幅は違うのに、不思議と歩く速さは同じだった。
💜「また一緒帰ろ」
何気ないつもりで言った。
💛「いいよ」
即答だった。
それだけで嬉しくなる自分が少し単純で笑えた。
高校生活なんて、始まったばかり。
この帰り道も、そのうち当たり前になるんだろう。
そう思っていた。
思っていたからこそ。
この夕焼けを、少しでも長く見ていたかった。
💛side
家へ着く頃には空が藍色へ変わっていた。
部屋の窓を開ける。
夜風がカーテンを揺らした。
制服を脱ぎながら、ふと今日の帰り道を思い返す。
何を話したっけ。
好きな教科。
苦手な先生。
コンビニの新作アイス。
そんな他愛もないことばかり。
それなのに、思い返すと自然と笑ってしまう。
スマホが震えた。
💜『今日はありがと』
短いメッセージ。
少しだけ考えて返す。
💛『また帰ろう』
数秒後。
💜『約束』
画面に浮かぶ文字を見て、小さく笑った。
約束なんて、大げさなものじゃない。
明日も学校へ行って。
隣に座って。
昼を食べて。
放課後に帰る。
そんな当たり前が、これから何度でも続くと思っていた。
春の夜風は少し冷たかった。
それでも胸の奥だけは、不思議なくらい温かかった。
コメント
2件

2人の雰囲気、距離感とってもいいですね🥰 なんですか! その当たり前続かないんですか😭
第2話、めっちゃ良かったです…!😭💕 照と辰哉の自然な距離感、ゆるやかに縮まっていく感じが心地よすぎる…「隣がお前でよかった」って何気なく言えるの、尊すぎて泣く。笑 シャーペン貸す日常とか、一緒に帰る遠回りとか、そういう何気ない時間が宝物になるの分かる〜!青春の空気感がたまらなかったです🌸 次も楽しみにしてます!!