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「アック様~!!」

「ウニャアァァァァァ!」

「な、なんっ――うげげっ、わぶぶぶっ!?」


ウルティモを氷に閉じ込めた直後、急に視界が閉ざされる。もしかしてカウンター攻撃でも発動したのかと思っていると、ルティとシーニャに挟まれ羽交い絞めにされていた。


息苦しさがある正面にはシーニャ、背中にはルティがくっついている。肌に感じる感触はモフッとした毛ざわりがあり、恐らく彼女の胸元に顔が埋もれていてそこから全く動かせない。


背中にはルティの温もりと膨らみ、そして腰には彼女の力強い両腕が回されている。フィーサはどこにいるのかと顔を動かそうと試みるも、シーニャが離してくれない。


「もががっ、まっ、待った……シーニャ、こ、こら――!」

「ウニャウウ……!! アック、無事! アック生きているのだ~!! フニャァ!」

「ル、ルティも、ち、力を弱め……ぐげげげ」

「一時はどうなることかと思っ……ううっぐすっっ」


駄目だ、どっちも押さえつける力が半端ない。せっかくウルティモを制したのに、このままでは彼女たちによって意識を失いそうだ。


「しょうがないなぁ。イスティさま、一つ貸しだからね?」

「……んぶふっ!?」


近くからフィーサの声が聞こえてきたかと思えば、二人を強引に引き剥がすかのような突風が吹き荒れる。


「はぇっ!? と、飛ばされるぅぅ~!!」

「ウウウ……邪魔するな、なのだ!! フィーサ!」

「駄目だよ、シーニャ。イスティさまが死んじゃうよ?」

「ウウゥニャ……」


フィーサからの厳しい声があったのか、シーニャは名残惜しそうにおれから離れた。ルティは結構吹き飛ばされたらしく地面で放心状態になっている。


「わ、悪い、フィーサ」

「本当だよ~! イスティさまが負けるわけないと思っていたけど、すぐ気を抜くところが弱点だと思うの。わたし抜きで倒しちゃうなんてさすがだけどねっ!」

「そうだな、反省しとくよ」

「……ウニャ。アック、ごめんなのだ」

「――ん? あぁ、問題無いぞ。心配してくれたんだよな、シーニャ! よしよし……」

「フ、フニャ……」


すでにたっぷりとモフッてはいるが、しょんぼりとしたシーニャの頭を撫でて元気づけた。


「アック様~!! 私も私もお願いしますです!!」

「……あ、あぁ」

「え、えへへへ~」


何故かシーニャと争いたいらしく、駆けて来たルティの頭もついでに撫でた。フィーサだけは人化したままのせいか、大人びた態度を崩していない。


◇◇


ウルティモが氷漬けのまましばらく経った。他の戦闘魔導士はシーニャたちが追い払い、アジトとされる所に逃げて行ったらしい。アジトとされる小屋は岩肌にへばりつくようにして建っている。しかし人はおろか、獣の気配すら感じられない。


「あの小屋に逃げて行ったってことで間違いないか?」

「ウニャッ! きちんと見たのだ!」

「うん、そうだよ~」

「……しかし――」


シーニャは耳を立てて自信を持っているし、フィーサも力強く頷いている。全く気配を感じないが、小屋に侵入するべきなのだろうか。


「――あああ~!!」

「な、何だ? どうした、ルティ」

「感じます、感じますよ~! 小屋の奥から精霊竜さんの声が聞こえてきています~」

「小屋の奥から? しかし岩しか見えないが……」

「こうしちゃいられないですっ!! 今すぐ助けに行かないとっっ!」

「あっ、こらっ!!」


止める間もなく、ルティは勢いそのままで小屋に入って行ってしまった。岩肌にへばりついている時点で、小屋の奥も何も無いと思われるが。


「イスティさま、たまには小娘を信じてみるのもいいんじゃない?」

「疑っているわけじゃないが……」

「ウニャ、ドワーフだけを先に行かせるのは駄目なのだ! 早く進むのだ!!」


小さな小屋にもかかわらず、ルティは外に飛び出して来ない。そうなると彼女の言う通り小屋の奥に何かがあるということになる。


「――ウルティモをこのままにして行くということになるが……」


奴は息絶えたわけでは無く、動きを止めただけ。どこかに潜んでいる仲間に助けられれば必ず追って来る。そう思うとうかつにここを離れてはいけない気がしてならない。


「……イスティさま。わたしが見張ってようか?」

「ん? フィーサだけで?」

「他に誰がいるの? わたしに任せて!」

「シーニャは――」


言われると思ったのか、シーニャがすでに手を挙げている。


「アックと一緒に行くのだ!! ウニャッ!」

「だよな……」

「大丈夫! わたしだけで何とか出来るから、イスティさまは早く小娘を追いかけて!!」

「悪いな、フィーサ。よし、シーニャ行くぞ!」

「ウニャッ!」


おれの手元から離れてから、フィーサだけに任せることが増えてしまった。もっとも彼女の実力ならたとえ他の魔導士が襲って来ても問題無いはず。


シーニャを連れておれは小屋の中に急いだ。


「――イスティさまが戻って来るまでに戦闘魔導士は全て消しといてあげなきゃ……」

Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので 、好き勝手に生きます!

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