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1ヶ月後。
紗姫は『伊崎信也君を励ます会』の会場に現れた。
ホテル大広間の会場は騒めき、誰もが紗姫を見た。
錦藤家の家紋を配った 五つ紋の色留袖を纏った紗姫は、息を呑むほど美しい。
後ろには、威厳に満ちた櫻花と、堂々とした伊織が控えている。
気高く高貴な紗姫の姿に、すべての来場者が見惚れた。
真に藩主の姫。
戦国の世から続く大名家の血筋を、会場の全員が感じ取った。
紗姫は、最前列中央のテーブルまで歩いた。
気品ある微笑みを見せると、後援会会長が立ち上がって席を譲った。
会長の両隣も立って、櫻花と伊織に席を譲った。
この状況は、信也に伝えられた。
「追い出せ!」と言ったが、もう会が始まる時間だ。
それに、誰も追い出すことができない。
声を掛けることすら畏れ多い雰囲気だ。
音楽が鳴り、女性司会者がマイクを持った。
「お待たせ致しました。伊崎信也衆議院議員の登場です」
ぎこちない笑顔で信也が舞台に上がった。
紗姫は、しっかりと信也の顔を見た。
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