コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
秋は、夏の間にはなかった柔らかでやさしい不安が空気中に漂っている感じがする。
11:27。自分はテーブルの中心に置いていたクミンを取って、自分で焼いたトーストに振りかけた。朝と言うにはもう高く上がり過ぎてしまった太陽が、レースカーテン越しに此方を観察しているような、なんというか本当に嫌な感じがする。
自分は常人と言うにはいささか思考が穏やかでなく、狂人と言うにはおとなしい。幸せになろうとして積極的に他人と関わっていった結果、いまの、腹に重くたまるような孤独の不幸せがあるのだ。
近頃は吐いた息にすら違和感を感じる。自らの体に皆とおんなじ血が流れている疑わしい。はぁ、大団円だ、大団円だ、みんな幸福の首輪をつけてるんだ。脳にそんな言葉が刻まれている。それはたしか小説の一片だったような。
自分が自分の幸せをしつこく願う限り、幸せはずっとこないのだろう。
トーストを食べ終わって、昨日夜なべして書いた草稿を纏めようとした。11:30までのことである。