言葉とは恐い物だ。
厭な言葉程、頭に染み込んでくる。
故に今も、夢と云う形で孤児院を思い出す。
そして。
-武装探偵社だって、何時か御前を棄てる
…探偵社への不安も。
孤児院では御前の様な穀潰しは孤児院には要らないと云われた。
孤児院では何処かで、の垂れ死んだほうが良いと云われた。
孤児院では親に見捨てられた様な餓鬼に泣く資格等無いと云われた。
孤児院では足に釘を刺された。
孤児院では点数稼ぎに使われた。
孤児院の頃の夢だ。
孤児院の夢何て、何度も見た。
それに、あれから…院長先生が死んでから、もう孤児院の事何て、院長の言葉何て、耳を貸さない事にしていた。
それなのに、昨日の任務の所為なのだろうか…。
まぁ、その位なら別に善いのだ。
先刻の夢で、孤児院の先生でもない、“誰かの声”が、訊こえたのだ。
其の声は、誰だか判らない。
いや、判りたくないんだ。
ー武装探偵社の皆の声だと、信じたくない。
昨日は、あの仕事が最後だった為、治癒が出来たら探偵社へ帰り、その後直ぐ寮へ帰った。
少し遅くなったので、「遅かったじゃあないか。如何したんだい」と云われたが、何とか誤魔化した。
寮へ帰ると、無意識に溜息を吐いてしまった僕に「如何したの」と鏡花ちゃんに云われてしまった。
無意識で自分でも驚いたが、「疲れてるのかも」と笑って寝る事にした。
だが、先刻話した夢を見たくなくて、其の日は確り眠れなかった。
それでも、それ位なら別に何とも無いので、今日も何時も通りに探偵社へ行った。
太宰さんの自殺を止めて、報告書を書いて、何時も通り仕事をして居た。
すると、敦は国木田に話しかけられた。
「敦、この資料なんだが…」
「はい」
「此処、間違えている、直しておけ」
僕は資料を見た。
確かに間違えている。
「本当だ…直しておきます」
そして、数十分後。
「敦くーん」
太宰が代わりに仕事してよとでも云いたげに敦の名前を読んだ。
敦は反応をせずぼーっとして居る。
「敦君?」
「えっ?あ、はい?」
其処で漸く気が付いた。
「大丈夫かい?ぼーっとして居たよ。疲れてるのかい?」
疲れている…と云えばそうなのかもしれない。
昨日の事と夢の事。
探偵社で考えてしまって居る。
返事を返さずに居ると、パァンと叩く音が聞こえた。
正体は考えずとも判る、国木田の手帳だ。
「貴様が敦に仕事を任せ過ぎて居るからだろう!それに自殺をして居る御前を探して助けるのがどれだけ大変か貴様には見当も付かんのだろう!!」
「なッ非道いよ、国木田君」
其の云い合いに僕は何時も通り苦笑いをするしかなかった。
と其処で国木田が溜息を吐き云った。
「はぁ…。まあ敦、俺の理想を乱したら許さんからな」
「は、はい」
「鬼だねぇ国木田君」
ー何もせず、何も出来ぬ穀潰しは社には要らん
「_っ!?」
今のは、夢で訊いた言葉と同じだ。
…もし、探偵社が本当にそう思って居るなら……?
考えて居ると太宰が問いかけた。
「敦くん?如何したんだい?」
「あ、はい!すみません、少し考え事を…笑」
「敦くんが考え事何て、珍しいねぇ」
其れに僕は笑い返すしか無かった。
ふと時計を見ると、時刻は五時を過ぎて居た。
何時もより早いが、仕事が終わったので、帰ろうと思った。
「お先に失礼します」
笑って云うと、皆が「お疲れ様ー」等と云う中太宰が。
「敦くーん、私の報告書を手伝って呉れ給えよぉ」
この人は真面目だったら格好良いのになぁ。
「だから貴様は自分でやれ!!」
「えぇ、じゃあ私が終わるまで話し相手にでもなって呉れよぉー」
如何して此処まで帰らせてくれないのか…。
「厭ですよ、帰りますからね」
「…そうかい、判った。気を付けてね」
少し、不満そうな、悲しそうな、よく判らない表情をして居た。
「?はい」
“そうかい、判った。”
帰る時、僕は少し考えて居た。
あの表情…怒らせて仕舞ったかな…。
太宰さんは何を考えて居るかが、よく判らないからなぁ。
ー武装探偵社に存在して居るだけの役立たずだね。君は。
っ…まただ。 これは夢。
気にする事ないのに。
…でも、もし本当にそう思って居るなら_
僕は歩き乍溜息を吐いた。
ドン。
誰かと肩がぶつかった。
「あ…すみませ…」
その瞬間僕の視界に入ったのは。
「…!フョードル!?」
魔人フョードル。
嘗て、白鯨を横浜に落とそうとし、そして共喰いを起こした者。
僕は咄嗟に異能力を使おうとした。
_が、異能を発動する前に腕を掴まれた。
「っ!」
「そんなに警戒しないで下さいよ」
手を離され、バランスを崩して仕舞い、地面に倒れて座った状態になって仕舞った。
…此の男は危険だ。下手に一人で行動すると、何が起きるか判らない。
故に、逃げようとした時。
「探偵社に棄てられるのが怖いのですか?」
は……?
「貴方は孤児院で非道い扱いを受けて、そして棄てられた」
フョードルは睨む僕を無視して言葉を続ける。
「昨日の出来事で、探偵社も棄てるのでは無いかと、そう思って居るのではないですか?」
…そんな事…思って何か…。
「孤児院の様に探偵社も失敗を続けて仕舞えば、怒らせて仕舞えば、棄てられると、思ってたのではないのですか?」
「何が云いたい」
「心配なのですよ。貴方が」
何を云って居るのだ。
敵を心配するだなんて。
「探偵社に棄てられる前に、逃げて仕舞えば善いと思いますよ」
「如何云う事だ…」
「僕の仲間になる気はありませんか?」
…!!
「御前何かと仲間に何か…!探偵社の皆が僕を棄てる筈が…!」
「そうですか。まぁ想定内です。では、また」
フョードルは笑顔を見せて、何かをポツリと云い、闇へ消えて行った。
ーどうせ何時か君から縋り付くと思いますがね。
はろー。
長いです。非常に長いです。
読むの大変でしょ、すみません。
まじで妄想を文章化するってむずいね。
最近主は文スト関連で少々病んでます。
文スト五期を何回も見返してるくせにbeastと太宰を拾った日とストブリを連続で読む馬鹿なことをしてました。
そんで、ランダム缶バッジを10個買っても推しが出ない。
あと鏡花ちゃんと強オタに嫉妬して病んでます。
誰かドグラ・マグラを異能無効化して下さい。
コメント
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来た来た来た来たぁー! フョードル待ってました!
ゆーか!!!!すごい!!!表現綺麗すぎてしぬ!!!なんでそんなかけるのだ……
もう今回も良すぎッ!!!! これは続きが楽しみすぎてワクワクが止まらないッ!!!