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3 - 【フォロワー様10人達成記念】もしもの世界線

2025年07月23日

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注意事項

〇この物語は、作者が過去に描いた作品のキャラクターたちが「もし、元々人間として生まれていたら」という架空の世界線を描いたものです。

〇元の作品とは異なる設定や関係性が多数含まれます。

〇間接的に飲酒に関する描写が出てきますが、これは物語上の表現です。未成年者の飲酒は法律で禁止されています。真似しないで下さい。

〇フォロワー様10人達成記念作品です。本当に、有難う御座います。

〇1日遅れまてしまいました。申し訳ございません。

〇ちょっと長いですが、お楽しみいただけると幸いです。























ある商店街を、女子高生達が楽しそうに話しながら歩いている。


「ねぇ、これからカラオケ行かない?」


元気で可愛らしい笑顔を浮かべながらそう提案したのは、柚杏だ。


「確かに!久しぶりに良いかも!」


そんな柚杏の提案に一番に賛成したのは、陸華だ。


「ごめ〜ん。僕、今日、中華姉さんと約束してる事があってさ」


両手を会わせて申し訳無さそうに、でも、大好きな姉との予定を思って楽しそうに湾華はそう言った。


「そりゃ残念。でも、楽しんできてね」


柚杏は相変わらずの明るさで言葉を返す。


「私は、兄さん達が喧嘩しないか心配だから、帰るよ。ごめんね。また誘ってよ」


優しい声色で謝りながら断り、次回をお願いしたのは、沢山の兄を持つ南華だ。


「姉さんが行かないなら、うちもパスで」


そんな軽いノリで断ったのは、南華の双子の妹の北華だ。


「じゃあ、今回はお開きにして、また次にする?」


二人だけのカラオケは少し寂しいと感じたのか、柚杏は両手を後ろに回して、陸華に尋ねた。


「ん〜、じゃあ、そうするか〜」


陸華も楽しそうに笑いながら柚杏の意見に賛成した。


そんなふうに楽しそうに会話しながら帰宅している5人の女子高生と、一組のユリカップルがすれ違った。


「伊華、そろそろ目的地に着くぞ」


独華が自身の彼女である伊華に笑顔で話しかけている。


彼女はいわゆる、ボーイッシュというもので、髪は短く、男性的と言われるような、ズボンとシャツの服装だ。


「凄く楽しみ!で?まだ目的地は教えてくれないの?」


独華とちゃっかり恋人繋ぎしたままの伊華が幸せそうな笑顔を独華に向けて、そう尋ねている。


独華があやふやな返事をしていると、二人は海岸に行き着いた。


「ん〜、いや。此処が目的地なんだ」


独華は、特徴的なギザ歯を見せ付けるようにしてニカッと笑いそう言った。


「此処が?」


不思議そうに伊華は独華に尋ねる。


「折角此処に来たんだ。俺の旧友に教わったオススメスポット、行かないわけにゃ、いかんだろ?」


いたずらっぽく独華は伊華に笑いかける。


「お、ほら、見てみろよ」


そう言って独華は海の方を指差した。


そこには、真っ赤に染まった夕陽が海を照らし、空を赤らめ、見事なまでのグラデーションを生み出している。


「うわぁ〜。綺麗」


伊華は感動のあまり、その一言しか口にできなかった。


そんな一組のユリカップルの後ろでも、夕陽の美しさに目を奪われている者がいた。


「うおぉ〜。今日は綺麗に紅く染まってるねぇ〜」


ニヤニヤと笑いながら、少し眩しそうに目を細めて独り言を呟いているのは、陸華の姉の鈴華だ。


「って、急いで帰って夕飯作らなきゃ!うちが長女なんだからしっかりしないと。両親はちゃっちゃっと死んだから、うちが妹と弟達を支えなきゃなんだから」


自分の頬を勢い良く叩いて、キリッとした表情に戻すと、鈴華は留めていた足をまた、動き出した。


「社会人歴8年目でこれって、うち、大丈夫かな?」


なんて独り言をブツブツ言いながら鈴華は足早に家へ帰った。


「たっだいマンモス〜!」


鈴華は、社会人になったとしても相変わらず、変な帰りの挨拶をした。


「おかえりンゴ〜!」


「おかえりなさい」


鈴華譲りの変な挨拶をしたのは、炎海。その隣で、自身の兄と姉にため息を付きながら挨拶を返したのは、末っ子の空炎だ。


「あれ?陸華と炎帝は?」


まだ帰ってきていない次女と長男を不思議に思い、鈴華は狭いマンションのリビングで宿題をしている炎海と空炎に尋ねた。


「帝兄さんは、陸姉さんを迎えに行ったよ」


数学のプリントとにらめっこをしながら炎海は鈴華の質問に応えた。


帝兄さんと言うのは、炎帝の事で、陸姉さんは、陸華の事だ。


因みに、炎帝は大学生で、炎海と空炎は中学生だ。


「りょ~。ちょっと待っててね、直ぐに夕飯作るから〜」


鈴華は炎海の説明を聞くと、狭いキッチンに入って行った。


空炎がふと見上げた窓の外を飛んでいる烏を眺めていたのは、湾華の姉、中華だった。


「私も飛べたらいいのに」


中華は、ため息混じりの声でそんな事を呟く。


「家に帰ったら、今日は……。そうそう、湾華と姉さん、兄さんに手料理を振る舞う日だったね」


少し急ぎ足で、靴底が擦り減ってきたスニーカーで音を鳴らしながらの帰宅途中だ。


「こんな変なことを考えるのも、きっと変な夢のせいよ。空を飛ぶように駆け抜ける…。なんて夢を見たせいよ」


中華は、首を横に振ってまるで自身の思考を吹き飛ばすような仕草をした。


大きなため息を付いた中華が通り過ぎた家では、作法教室をしている。


「ティーカップの持ち方は、指で抓むようにして持ちます」


まさしく淑女と呼ぶに相応しい言葉と洗礼された動きをして、作法教室に来た生徒に教えているのは、欧華だ。


「こう、ですかね?」


細長い指で、ティーカップの持ち手を抓むようにして持ち上げ、二人の先生に確認を取っているのは、白蓮だ。​


「そうです。お上手ですよ」


生徒を褒めちぎっているのは、欧華の友達で、作法教室の先生をしている連華だ。


そんな穏やかな空気の流れる作法教室に、ピアノとバイオリンの音が聞こえてきた。


近くの小学校の体育館で、ピアノを弾いているのは、西華だ。


西華のピアノの音は、どこまでも美しく、優しい音だ。


そんな西華の隣でバイオリンの音を奏でているのは、英厳だ。


英厳のバイオリンの音は、穏やかで優しく、どこまでも洗礼されている。そんな音を西華のピアノの音と寄り添い合うようにして奏でている。


そんな2人の美しい演奏に耳を澄ましているのは、保洋と、修平、東海、阿香里の4人だ。


彼らは、この学校の教員で、明日生徒たちに聴いてもらう演奏を、西華と英厳の好意で先に聴いているのだ。


2人の奏でるハーモニーを聞いたのは、教員達だけでは無く、小学校の前を通り過ぎた男子大学生達の耳にも届いたようだ。


「へ〜、この年も演奏会やるんだな」


そう呟いたのは、主炎だ。


「2年に一回はやってるんだし、いつもの事だろ?」


ピアノとバイオリンの音に感心している主炎に鋭いツッコミを入れたのは、主炎と2歳差の弟の、炎露だ。


「そんな事より早く帰って寝たい」


音楽に感心なんてせずに自身の眠気を優先しているのは、趣味は昼寝と答えるほど寝るのが好きな、炎牙だ。


「なぁ、ゲームしようぜ」


炎牙の事も、演奏の事も気にせず、話を始めたのは、琉炎だ。


「どんな?」


そんな琉炎の提案にちょっと乗り気なのは、見事に声が重なった海帆と炎端だ。


「しりとりで負けたら、炎雰の家にあるウォッカをガブ飲みする」


ニヤっと悪巧みでも考えているかのような笑顔を見せながら琉炎は罰ゲーム付きのしりとりを提案した。


「俺のウォッカを飲もうとするな」


そんな琉炎に炎雰が思わずツッコミを入れた。


一応、この場に居る全員、成人しているから酒を飲んでも良いが、ガブ飲みはするもんじゃない。


「仕方ないから、僕の家にある梅酒飲む?」


拗ねたふりをしている琉炎達にそう提案したのは、永泰だ。


「え!?良いの?じゃあ、飲む!」


永泰の提案に琉炎と海帆だ。


「じゃあ、永泰の家で宅飲みしよ〜」


炎端は、何とも無い無邪気な顔してそう言った。


「良いよ〜。今日は兄さん出張で家に居ないし〜。主炎達はどうする?」


永泰は、軽いノリで家にあげる事を決定すると、さっきから何も話していない主炎達に話しかける。


「悪い、弟妹の面倒見なきゃでさ」


少し申し訳なさそうな表情で主炎はそう断った。


「そっか、お前ら兄弟多いもんな」


琉炎が納得したように頷きながらそう言葉を返す。


「炎牙、寝たぞ」


炎露が立ったまま寝ている炎牙を見ながらそう呟くと、その場にいた全員が「は?」と声を漏らした。


「自由、だな」


主炎はただただ苦笑いを浮かべていた。


そんな男子大学生達を横目に病院へ向かう男性が一人いた。


「和華、このお花好きだったよね」


穏やかな声色でそう呟いているのは、炎加彼もまた、多くの兄弟を持つが、その殆どが独り立ちしている。炎加もその一人だ。


手には黄色のガーベラを抱えている。


暫く無言で進み続けると、炎加はやっと病院に辿り着いた。


「あ、津炎先生、お久しぶりです」


恋人の和華の病室に行く最中、炎加は病院の先生である津炎に出くわした。


「お久しぶりです。と言っても、2週間ぶりなんですけどね」


穏やかで優しそうな笑顔を浮かべながら津炎も挨拶を返す。


「和華さんのお見舞いですか?今は丁度起きていると思いますよ。では、俺はこれで」


丁寧にお辞儀をして津炎は去ってゆく。飛び級をして、医師免許を獲得し、今ではこの街一番の有名な医者になった津炎は大忙しなのだろう。


津炎と別れると、また暫く無言のまま炎加は病院の廊下を進み続けた。


ガラガラと音を鳴らしながら病室のドアを開くと、炎加が愛して止まない恋人の姿が見えた。


「和華、お見舞いに来たよ」


誰にも見せないような、優しくて、愛おしそうな表情で炎加は和華に話しかける。


「あ、炎加!今週も来てくれたの?嬉しい」


嬉しそうな、幸せそうな表情で和華は炎加の方を見た。


そんな穏やかな空気の流れる病室の前を姉妹で看護師をしている3人が通りかかった。


「良いな〜。あんな甘い恋。王華にさせたい」


自分が、と言うわけでもなく、自身の妹である王華にそんな恋をさせたいと言うのは、王華や伊華、市華の姉である、王詞だ。


「ちょっと、王詞姉さん!そこは自分が羨む所でしょ!なんで、私にさせようとしてんの?!」


少々取り乱して自身の姉に説教じみた事を言っているのは、伊華の姉である王華だ。


「まぁまぁ、落ち着いて下さい。私も、そろそろ、王詞姉さんと王華姉さんの恋模様がみたいな〜っと思っていますよ」


笑顔の圧で市華は自身の姉達に彼氏を作るようにせがんでいる。


「待て待て待て。なんで私まで入れる」


ちゃっかり自分も彼氏を作れと言われた王詞が慌てて止めに入った。


「アラサーでも行けますよ!」


市華はそれでもなお、食い下がろうとはしない。


「伊華だけにしといてくれ」


呆れたように、困ったように、王華はそう呟いた。だが、そんな言葉は市華の耳には入らなかった。


そんな姉妹達を見守るようにして輝いている星々を眺めている人物がいた。


「ヒャッハー、オシゴトオワンナイ!」


バグったように片言で、叫んでいるのは、蘭華だ。しっかり、仕事をサボって、残業中だ。


「うわぁ〜、星が綺麗だな〜」


典華はもうサボった分溜まった仕事を諦めたかのように星を眺め、現実逃避している。


「手を動かせ!私も残業に付き合ってるんだ!」


半分キレながら高速でキーボードを打っている共華がボーとしてる2人に怒鳴る。


「まぁまぁ、そう怒らんと、僕も一緒に残業してやっとるさかいに。な?」


今にも怒りが爆発しそうな共華を慰めるようにして、炎土は話す。


「どうせ慰められるなら、彼氏に慰められたい!」


共華は、デスクを勢い良く叩きつけて、今にも泣きそうな顔をしている。


因みに共華の彼氏は、炎雰だ。


そんな時、部署のドアが音を立てて開いた。


「典華〜。迎えに来たぞ」


典華の何である、盟典だ。


「あ、兄貴…。仕事、手伝ってくれ」


涙目になりながら、迎えに来た上司でもある兄に、典華は手伝いを要請する。


「まずまず、さぼんなよ」


呆れ顔で沿う言う物の、何だかんだ言って手伝ってくれる優男が盟典だ。


そんなふうに残業している人達を背に、会社を後にしている者もいる。


「お、海晴もこれから帰りか?」


太陽のような笑顔で海晴に話しかけたのは、炎伯だ。海晴からは、“伯”と愛称で呼ばれている。


「伯、お前の顔面って何でそんなに眩しいんだよ」


ちゃっかり嫌味とも受け取れるような褒め言葉を海晴は言った。


「そういう家系なものでな!」


どこまでも明るいその性格は一周回って呆れてくるのかもしれない。


「うるさ。今、夜だから」


両手で両耳をふさいで、海晴は炎伯へとツッコミを入れる。


「すまん!すまん!」


だが、炎伯は全く反省していないようだった。


そんな炎伯の声が響いて此処まで聞こえるような気がする夜の静かな商店街を愛華は一人で歩いていた。


「私は、人間には慣れないらしいな。弟妹も、私の家族では無くなっている。彼奴等が、幸せなら、それで良いのかもしれないがな」


苦笑いを浮かべながら愛華は独り言を言っている。


「いや、彼奴等は、幸せだろうな。ドールとしてなら死んでいるはずなのに、人間としてなら生きている者もいるのだ」


静かに、月と星々を眺めながら愛華は自分に言い聞かせるようにそう言葉を紡ぐ。


「私は、暫く眠って(封印されて)おこう」


そう呟いたかと思うと、宵闇に消えるように愛華は姿をくらました。​

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