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1ヶ月前。
伊織は【信也の不倫の証拠】を探しに東京に行った。
ポケットには〈偽の名刺〉が入っていた。
「週刊春春の鈴木です。伊崎信也議員のことを話して頂けませんか?」
陽奈の行動範囲は珊瑚が調査済みだ。
毎日通うカフェで声を掛けた。
「お金くれるの?」
「もちろん、謝礼金をお渡しします」
陽奈と信也は2年前に出会った。
陽奈はキャバクラでアルバイトをしていた。
派手な美人でスタイルがいい。
信也がホテルに誘うと「うん。いいよ」とついてきた。
伊織は「二人で撮った写真はありますか?」と訊ねた。
陽奈はスマホを開いて『オリンピック会場での写真』を見せた。
「写真を送ってほしい」と言ったら、すぐに送信した。
まったく警戒していない。
陽奈は、伊織が驚くほどペラペラと話した。
そろそろ信也と別れたい、と思っているようだ。
理由は「マンションを買ってくれない」から。
賃貸の家賃は信也が払っているが、部屋が狭いのも不満だ。
その部屋に、信也は頻繁に来るという。
伊織は(部屋を見たい)と思った。
「もし可能でしたら、お部屋にお邪魔してもいいですか?」
陽奈は伊織の身体を見回した。
筋肉質で逞しい。顔も好みだ。
「うん。いいよ」
陽奈の部屋は、信也の『物置』のようだった。
議員宿舎と自宅に置けない物を、こっそりと隠している。
陽奈と楽しむときに使っているらしい。
もしかしたら……? と伊織は思った。
「デジカメはありませんか?」
「あるよ。あの人、撮るの好きだから」
「拝見させて下さい」
伊織は、写真と動画を確認した。
紗姫が映っていた。あのワンピースを着ている。
(まだ残ってる! 証拠があった!!)
「これを貸して下さったら、プラス10万円差し上げます」
「貸す! 貸す!」
デジカメには日時が残る。
信也と陽奈のSEXも映っていた。
『伊崎信也君を励ます会』のスクリーンに、オリンピック会場でキスする信也と陽奈の写真が映っている。
1000人の来場者が見つめるなか、伊織が録音した〈陽奈との会話〉が流れた。
「本当にケチ。もっと広いマンションに住みたいのに」
「貴女の部屋の家賃は、伊崎信也議員が払ってるのですか?」
「そうよ。買ってほしいのに賃貸なの」
「その部屋に、伊崎信也議員は来ますか?」
「しょっちゅう来るよ」
「伊崎信也議員が、離婚する前からですか?」
「2年くらい前から。奥さんが田舎にいるから、私とヤリたいって言ってた」
信也は、両手で耳を塞いで大声で叫んだ。
「嘘だ! 嘘だ! みなさん、これは嘘です!」
紗姫はマイクを拾って、冷静に言った。
「証拠写真は何枚もあります。もちろん偽造ではありません」
信也は茫然と立ち尽くした。
足がガクガクと震えている。
紗姫は(一つ終わった)と思った。
身の潔白を証明し、信也の不倫を暴いた。
でも、もう一つ残っている。
それを暴いて、『政治家 伊崎信也]の息の根を止める。