「んっ…あ、そこっ。」
「ここ?」
「そこぉ…きもちぃ。」
今日はテレビの収録日。
楽屋で待機中にトイレに行きたくなって、楽屋を出たのは、ほんの数分前。
トイレから戻ってきた僕は、楽屋のドアを開けられないでいた。
「やぁっ、ちょ…まって…!」
「なんで?」
だって…中から凄く如何わしい声が聞こえてくるんだもん!
でも、自分の楽屋の前でずっと立ってるのはおかしいし、現にさっきからスタッフさんや共演者の方が『コイツ何してんだ?』って顔をして見てきてる。
入っても地獄、ここに居ても地獄。
幸い、二人の声はドアに近づかないと聞こえないから、僕がココに立っている限り、周りの人にはバレないけど…
「んんぅ…やだっ!待ってぇ!」
と思いきや、中から一際大きい元貴の声が聞こえて、色々焦る僕。
「ほら、我慢して。気持ちよくなるから。」
おい若井!何言ってんの!
てか、若井ばっかりズルい!
「あっ、も…むりぃっ…イッ… 」
もう色んな意味で限界がきた僕は、意を決して楽屋のドアを勢いよく開けた。
「ちょっとー!何やってんの二人ともー!」
流石に直視する勇気はなかったから、目をつぶったまま叫ぶ僕。
「あ!涼ちゃん!助けてぇー!」
助けて?!
と言う事は若井が無理矢理…?!
「涼ちゃんも一緒にやろ!」
若井!なんて事言うの!
僕は驚いて目を開けると、そこには…
「暴れんなって!ここのツボがいいって書いてるんだから!」
「もういい!痛い痛い痛い!!」
元貴の足を揉んでる若井と、 暴れる元貴が居た。
なんだ…マッサージか…
「涼ちゃん、何やってるの思ってたの?」
僕の考えてる事が分かったのか、若井がニヤニヤしながら聞いてくる。
「う、うるさーい!紛らわしい事しないでよ!」
僕は恥ずかしくなって叫びながら楽屋を飛び出し、隣のサポートメンバーの楽屋に逃げ込んだ。
ガチャッ
「ごめん!避難させてっ。」
「ね、ねぇ…隣で何してたの?」
顔を真っ赤にして自分達の楽屋に入ってきた僕に、そわそわしながらサポートメンバーが聞いてくる。
「え?」
「隣から如何わし声が…」
「そうだよね!僕が変な訳じゃないよね!」
仲間だ!!!
僕は思わず両手で握手をした。
fin
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最andko