「あ”あ”ッ、」
蹴られた部分が痛い。
「汚い声…気持ち悪い。」
ギャハハと下品な笑い声が聞こえる。
また、心臓に穴が空いた気がする。
いつもそうだ。こうやって、蹴られて、叩かれて、酷い言葉を投げつけられ。
いつも、心臓が抉(えぐ)られる。
「まじで、これSNSにあげようかなー?」
そう言ってカメラを構えた心根(しんね)さん。
すると、髪を持ち上げられる。
「はーい!皆さんこんにちはー!今日は、豚みたいな汚ったないブスを紹介しまーす!」
はぁ、最悪だ。
キーンコーンカーンコーン
助け舟のようにチャイムがなる。
「ちっ、また明日、昼休みに必ず来なさいよね。逆らったら、まぁ、たっくさん言ってるから分かるよね!」
「ばいばーい」そう言って去っていった心根さん。
痛い…辛い…
リュックを持ちトイレへ向かう。
正直、トイレが1番落ち着く。汚いかもだけど、何となく落ち着くんだ。
そう思いながらジャージへと着替える。
制服、また汚れちゃった…まだ1年生だと言うのに、私の制服はボロボロだ。心根さん曰(いわ)く、制服に手をつけたらバレてしまうから、制服は手をつけていないらしい。
放課後は図書委員があるから、いつも図書室にいる。先輩方は部活とかがあるからだいたい私と、もう1人、音色(ねいろ)さんという人と図書室にいる。音色さんは、唯一、一緒にお話をする仲だ。
相手はなんか、渋々話を聞いているって感じだけれども。
でも、それが私の何よりの幸せだった。
「キャー!玲音様と望様!」
「本当に目の保養だわ〜!」
私がトイレから出ると、やけに廊下が騒がしかった。
う、うるさい、耳が…
早くこの場から去ろう…
何とか人の間を通り抜け図書室に向かう。
「ねぇ!今、望様こっち見なかった?」
「ね!思った。」
そんな彼女らの話し声は、私には聞こえなかった。
コメント
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心根さん、ヤバすぎる((( ;゚Д゚)))