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私は自分のデスクで、両腕を枕代わりにし、すっかり疲弊した顔を突っ伏していた。
叶人くんとの関係への不安と
午前中の芽衣の言葉が頭をぐるぐると回って、仕事にまったく集中できない。
しかし、次の瞬間
ピタッ
急に、私の右頬にキーンと冷たいものが当たった。
「ひっ!?」
情けない悲鳴をあげて、私はバッと弾かれたように飛び起きた。
「随分と情けない声を出すんですね、先輩?」
振り向くと、 そこにはいつもの調子で私をからかっている佐藤くんが立っていた。
彼の両手には、冷えた缶コーヒーと、甘そうな缶のカフェオレが握られている。
「もう!また佐藤くんじゃない……っ!びっくりした…」
「ははっ、すみません。先輩もこれ、飲みます?」
「ま、まあ一応貰っておくけど。ありがとう……」
私は恨めしそうな目で彼を軽く睨みながらも、ひんやりとした缶のカフェオレを受け取った。
「さっきから、何度も後ろから声はかけてたんですよ?」
「えっ、そうなの!?全然気が付かなかった……」
「はい。なのに机に顔をくっつけたまま、死んだ魚みたいな目で微動だにしなかったので。…何か悩み事でもあるなら、俺、話聞きますよ?」
「いや、悩み事ってほどじゃ……」
「とにかく、男の俺だからこそ、力になれることもあるかもしれませんし!何かあったらいつでも俺を頼ってくださいよ?」
佐藤くんらしい、人懐っこくて優しい励ましだな――いつもならそう思うはずだった。
だけど、今の私にはそのフレーズが別の意味で突き刺さった。
〝男の俺だからこそ、力になれる〟
その言葉を聞いた瞬間
男性心理の迷宮に迷い込んでいた私は、SOSを求めずにはいられなかった。
「ね、ねぇ、佐藤くん!今日の夜、一緒に食事に行く約束、してたよね……?」
「あっ、はい!もしかして…行けなくなっちゃいましたかね……?」
佐藤くんは少し不安そうに眉を下げる。
「いや、そうじゃないの!絶対に行く!行くから…その、相談そのときにさせてもらってもいい…?」
「相談ですか?!お易い御用です!」
佐藤くんは少しだけ驚いたような表情を見せた後
すぐにいつになく真面目で頼もしい眼差しに変わった。
「ほんと?ありがとう、佐藤くん…!!ちょっと今、切羽詰まってたから助かるよ……」
「そんなに深刻な問題なんですか?」
「うーん……まぁ、私にとっては重大なこと、かな」
#TL
瀬名 紫陽花
14,533
#BL
多 動 症 .
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