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#TL
瀬名 紫陽花
14,533
#BL
多 動 症 .
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「なるほど……?ま、詳しい中身は今日の夜、お店でじっくり聞きますね」
「う、うん!じゃあ、また後でね」
「はい、楽しみにしてます!」
彼はそう言って、いつもの軽い足取りで自分のデスクへと戻っていった。
その広い背中を見送りながら
私は今更ながら「男の後輩に恋愛相談をする」という事実に、緊張で胸がじわじわと熱くなるのを感じていた。
いくら気心の知れた可愛い後輩だとは分かっていても、プライベートで二人きりの食事となると
想像するだけで変に緊張してしまう。
けれど、今は誰でもいいから「男の本音」を知っている人に頼るしかなかった。
叶人くんとの関係を前進させるためにも
何か少しでもヒントを得ないと、不安で頭がおかしくなりそうだったから。
◆◇◆◇
その日の7時過ぎ──
予定通り、私たちは会社近くにある
隠れ家風の落ち着いたイタリアンカフェに足を運んだ。
佐藤くんが事前にスマートに予約してくれていたこともあり
店内に入ると、周囲の視線が遮断された静かな個室へと通された。
間接照明が優しく灯る大人っぽい空間。
テーブルには綺麗なワイングラスと 色彩豊かなチーズの盛り合わせが並べられ
職場の昼休みとは全く違う、どこか特別なムードが漂っている。
「……それで、お昼に言っていた相談って、具体的にはどんな内容なんですか?」
佐藤くんが、真面目なトーンで低く問いかけてきた。
普段の会社でのおちゃらけた後輩の様子とは違う
どこか色気のあるプライベートの「男」の彼がそこにいた。
「えっと…ちょっと、単刀直入に聞くんだけどね? 男の人って…一度えっちした女の子のことは、何があっても、もう本命の彼女候補からは外されちゃうのかな、って……」
「へ?せ、先輩にしては随分とディープな質問ですね……?」
驚かれても無理はない。
独身の男の後輩に向かって、いきなりこんな性の絡む質問をする先輩なんて普通はいないのだから。
「…もしかして先輩、どこかの悪い男にヤリ捨てされたんですか!?」
「ち、違うし!声がデカイのよ……!!」
私は慌てて周囲を気にしながら彼の口を手で塞ぎそうになった。
「す、すみません……つい、焦って」
「ヤリ捨てとかじゃなくて……!私がその…本当は彼氏が一回もできたことがない処女なのに、会社で『経験豊富』って噂されちゃっててるのは、知ってるでしょ…?」
「はい、もちろん」
「それで…ある人に、その嘘もいつかバレるかもしれないとか『本当に経験豊富になればいいんじゃない?』って言われて……」