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先代魔王アリスと未央がお互いの過去やこれからの話をしていると、魔王の間の扉を開ける者が現れた。
「誰だ!魔王様の玉座の間で騒いでいるのは!」
ドカァンと扉が開かれた。
「わぁ!」
未央はいきなり開かれた扉の音でびっくりしてしまう。
「誰だ、貴様は―――?」
いきなり現れた男は、インテリ風の面持ちで眼鏡をかけている如何にも執事のような男だった。
「リカント―――」
その男と顔見知りなのか、アリスはそう呟いた。
「ねぇねぇアリちゃん。」
「あの人アリちゃんの知り合い?」
「知り合いというか昔の部下だな。」
「余がいなくなって数百年以上経っても未だにこの魔王城を守護している本物の忠臣だぞ。」
「へぇ~すごい人じゃん。」
「いなくなってもアリちゃんのために尽くしてるなんて―――」
「貴様、さっきから何をブツブツとしゃべっている!!」
リカントと呼ばれた男は、眼鏡をクイっとあげ、こちらに質問をした。
「いや私は、ここに魔王として呼ばれたんだけど―――」
「魔王としてだと―――?」
「貴様ふざけているのか?」
「まぁいい、貴様が何者か私の魔眼で見てみればわかること。」
「魔眼発動!!」
リカントは未央のステータスを見る。
「!?」
「そんなハズは・・・」
リカントと呼ばれた男は、私のステータスを見た途端、急にわなわなと震えだした。
どうしよ?
眼鏡の人すっごい動揺しているみたいだけど・・・
「もしかして、貴方様は魔王様ですか?」
「魔王って言うか人間って言うか―――」
「ええと、貴方はリカントさん?」
「そうです。私はワーウルフのリカントです。」
そう言って、リカントはこちらに向かって一礼をした。
「私は、先代の魔王のアリちゃんに魔王の座を頼まれたんだけど―――」
「アリちゃんとはもしかして、魔王アリス様のことですか?」
「うん。そうだけど―――」
「貴方様は、先代の魔王様とお話をされたんですね?」
「えっと、お話をしたというか、そこにいるんだけど。」
そう言って私は、アリちゃんの方を指差す。
「??そこにいるとは、どういう意味ですか?」
「未央よ。そやつには余のことは見えないし、声も聞こえていない。」
「あ~幽霊だから声が聞こえているのは私だけってことだね。」
「なんと、貴方様には、先代の魔王の幽霊が見えていると。」
「ということは、そこにいるのですねアリス様!!」
「私です、貴方に一生この身を捧げたリカントです!!」
「いや知っているし、世界を掌握したときの景色を見せられなくて済まなかった。」
「そこの未央にその夢を引き継いだ。」
「未央の命令に従えと伝えてもらえるか。」
未央に伝言を頼んだ。
「アリちゃんが、一緒に世界征服できなくてごめんて言ってる。」
「それと私に世界征服の夢を引き継いだから手伝ってやってと言ってるよ。」
「あっ、そうそう私の名前は真島未央。」
「未央でいいよ~。」
そうリカントに伝えると、
「分かりました未央様。」
「貴方を魔王様と認め、貴方に従います。」
リカントは未央の前で跪いた。その顔はうれし涙でいっぱいだった。
「では、さっそく魔族領にいる六魔将を呼んで、今のことを周知いたしましょう。」
「ん?六魔将って?なに?」
「六魔将とは先代魔王様の頃から仕える幹部の名称です。」
「今はそれぞれの領地を治め、ほとんど魔王城に来ることはありませんが―――」
「ちなみに私もその六魔将が一人でございます。」
「あっ、そうなんだ確かにリカント強そうだもんね。」
私がリカントにそう言って笑顔を向けた。
「ありがたきお言葉です。」
「そう言ってもらえるなんてとても嬉しいと感じております。」
リカントは浮かれているのか、小走りで魔王の間を後にした。
この数日後六魔将が魔王城に集められ、魔王就任を周知し、これからの方針を決める会議が開かれることになった。