「……ひどい話だ」
御子柴さんが、ぽつりと呟いた。
その声には、私のために怒ってくれているような、強い響きがあった。
「白河さん。その男は、あなたの本当の価値を何も知らなかった。ただそれだけのことです」
「でも、世の中の人はみんな、芽衣の方に……」
「俺は、違います」
遮るような彼の言葉に、息が止まる。
「俺は、メイクを通して数え切れないほどの顔を見てきました。華やかなだけの美しさは、すぐに飽きる。でも、あなたの持つ、葛藤しながらも真っ直ぐに生きようとするその強さは……どんな色よりも、俺の心を惹きつけました」
テーブルの上に置かれた私の手に、彼の温かい手が重ねられる。
逃げ出したいほど恥ずかしいのに、その熱が、たまらなく愛おしかった。
「あの……御子柴さん」
「凪(なぎ)、と呼んでくれませんか?仕事以外の場所では、そう呼ばれたいんです。……あなたにだけは」






