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「はぁー着いた着いた。」
「…」
家に着いてから玄関から動かなくなった涼太をタオルで拭く。普段だったら自分でやると言うくせに今日は俯いてされるがままだった。
「とりあえず上がれよ。いつまでも玄関いてもしょうがないし。」
「……お邪魔します。」
「うい。」
もそもそと靴を脱いだ涼太の腕をまた引っ張ってリビングのソファに座らせた。
「風呂ためてくるから。そこで待ってろよ
「…」
喋りはしないもののこくりと頷いたので風呂をためてまたリビングに戻った。
「飯は?食った?」
「…いや、食べてない。」
「俺も。なんか頼もうぜ。何食いたい?」
「…」
「食いたいのないの?」
「今は特に…」
「じゃあこっちで決めるわ。」
適当に頼んだ出前を無言で食べ切った頃には風呂がわいていた。
「先入ってこい。タオルとか服は持ってくるから。」
「…分かった。」
ゆっくりと立ち上がった涼太はそのまま風呂に向かった。シャワーの音が聞こえてきたタイミングでタオルや服を置きに行った。リビングに戻り、涼太が上がる前にと電話をかけた。
『もしもし!翔太?』
「うん。いきなりごめん佐久間。」
『大丈夫!アニメ観てたし!』
「そうなんだ。」
『そ!んで、どうしたの?何か用事?』
「今日涼太と撮影一緒だっただろ?」
『うん、そうだったけど?』
「涼太何かあったの?」
『え?特に何もなかったはずだけど…』
「…へぇー…」
『え?なんで?』
「いや、実は今日帰ってる時にさ、路地裏で傘もささずにずぶ濡れになっている涼太がいて…」
『え!?』
「元気ないし何かあったんかなって思ったんだけど。」
『え、涼太は?今なにしてんの?』
「俺の家に連れて行って今は風呂入れてる。」
『よかった、翔太ありがとね。』
「いや、流石に放っておけなかったし…」
『でも…うーん…何かあったかなぁ…?』
「…翔太?」
「うわっ!」
電話に夢中で気付かなかったけど、隣に涼太が座っていた。
「風呂あがったの?」
「うん。服とかありがとう。」
「いや…まぁ、どういたしまして…」
『何?涼太いるの?』
「あぁ、うん。」
『じゃあかわってよ。俺も涼太と話したーい!』
「…涼太、佐久間が話したいって。俺風呂行ってくるから話しとけよ。」
「…分かった。」
涼太が佐久間と話し始めたのを見て俺は風呂に向かった。