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丈×鼓一朗
放課後の教室。
夕日が差し込んで、机の影が長く伸びていた。クラスのほとんどは帰っていて、残っているのは丈と鼓一朗だけ。
「お前、まだ帰んねーの?」丈が机に腰を掛け、ニヤリと笑う。
「プリント仕上げんの忘れてただけだよ。お前こそ、なんで残ってんのさ」鼓一朗は少し眉をひそめながら、シャーペンを走らせる。
「別に〜。たまたま」
丈は鼓一朗の机にずいっと身を乗り出し、手元を覗き込む。
「…うわ、字ちっさ。俺こんなん無理」
「触んな!」鼓一朗はプリントを隠すように体を反らす。
でも、丈はわざと鼓一朗の肩に手を置いて動きを止めた。
「なにビビってんの?俺がなんかすんの、怖い?」
挑発するような笑み。冗談のはずなのに、距離が近すぎて鼓一朗の心臓は跳ね上がる。
「っ…別に、怖くねーし」
強がる声が少し震えているのを、丈は逃さない。
「へぇ?」
丈はさらに近づいて、鼓一朗の耳元で小さく囁いた。
「じゃあ、この距離も大丈夫ってこと?」
吐息がかかって、鼓一朗は反射的に肩を震わせる。
「バ、バカ!離れろよ!」と反発しながらも、頬はほんのり赤い。
丈はニヤニヤしながら、鼓一朗の反応を楽しんでいる。
「やっぱ可愛いな〜。…なあ、もっと反応見せてよ」
鼓一朗はプリントを握りしめ、視線を逸らす。
「……マジで、調子に乗んなよ」
声は低いのに、耳まで真っ赤になっているのを丈は見逃さない。
丈の胸の中で、イタズラ以上の何かが芽生えていくのを、自分でも止められなかった。
蒼士×光希
サッカー部の練習後。
汗でシャツが張り付き、部室の中は熱気でむわっとしていた。
「は〜疲れた!」蒼士はタオルを乱暴に頭にかけて笑う。
その隣で光希は静かにジャージのチャックを下ろし、丁寧に畳んでいた。
「お前、いっつも几帳面だよな」蒼士がひょいと覗き込む。
「……普通だろ。蒼士が雑すぎんだよ」光希はそっけなく返す。
「はいはい〜」と蒼士はふざけながら、光希のジャージをわざと乱暴に引っ張って崩す。
「おいっ!」光希が慌てて直そうとする瞬間、蒼士はその手首を掴んで止める。
「……なにすんだよ」
「真面目すぎて、ちょっとからかいたくなんだよな」
蒼士の笑みは軽い。でも、近い距離からの視線は妙に真剣で、光希は思わず息を止めた。
「離せって」光希は手を振り払おうとするけど、蒼士の握力は強い。
「やだ。……お前が俺の方、ちゃんと見るまで」
光希の頬が一気に赤くなる。
「なっ、なに言って──」
蒼士はニヤッと笑い、さらに近づいて耳元に囁く。
「こういうの、嫌いじゃないだろ?」
心臓が跳ねる音が、二人の間に響いてしまいそうだった。
光希は必死に視線を逸らすけど、蒼士の手は離さない。
「……俺、逃がさないから」
その言葉に、光希の中で抗えない熱が広がっていく