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『芭蕉さんどうしたんですか?』
鬼弟子と呼ばれる河合曽良が、
師匠である、松尾芭蕉の顔を覗き込む。
『大丈夫、な、なんでもないよ。』
芭蕉は大丈夫と言っているが、
絶対大丈夫では無い顔色が赤くなって、息を切らしている
『近くの宿で休みましょう。』
曽良が芭蕉のことをおんぶしようと肩に触れると
『ん、ぁ゛♡』
と、芭蕉から甘い声が漏れたと同時に、
芭蕉が自分の手でガバッと口を塞いだ。
『芭蕉さん……?』
芭蕉が慌てたように反論しようとする、だが、
パニックでどもってちゃんと話せない。
『とりあえず宿に行くますよ。歩けますか?』
曽良が言った言葉に芭蕉は頷く。
宿から20~30kmしか離れてないのですぐ引き返すことにした。
『で、どうしてこうなったんですか?芭蕉さん』
曽良が芭蕉を詰め寄る形で言う。
『そ、それは』
芭蕉は目を逸らす。
『はぁ……もしかしてまた、
“拾い食い”なんてしてないですよね?』
曽良は表情を変えないが怒っている雰囲気が漂っている
『しししし、してないよ!勿論!!』
芭蕉慌てたように反論する
『……それとも、もしかして、僕がもらったチョコ食べたんですか?』
曽良が問いただすと芭蕉はあからさまにもギクッとした顔で
曽良を見る。
『え、えっと食べてないです!きっと!』
芭蕉はまたもや目を逸らす。
『はぁ、どうせ食べたからこうなったんでしょう?まずどうなんですか?弟子が貰ったものを“勝手”に食べるなんて、しかも自分はもらえなかったから、嫉妬して”勝手“に食べるなんて本当に“大人気ない”…』
曽良は愚痴愚痴と説教をする。
これじゃ傍から見ればどっちが弟子でどっちが師匠か分かったもんじゃない……
『……ご、ごめんなさい』
シーンとした空気が流れる。
こういうことは2、3度否、いつもあるが芭蕉がこういう場で謝るのは初めてなのだ。
曽良は見たことも無い顔でポカンとしている。
曽良がちょっとして、咳払いをし
『謝るんなら、最初から確認を取って食べてください』