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#親友
*椥守蕊月*
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~♡Տᗩᑎᗩ♡~
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## あの子なら大丈夫
ひなたが「いい子」と呼ばれるようになってから、少しずつ変わったことがあった。
それは、ひなた自身も気づかないくらい小さな変化だった。
「ひなた、これお願いしてもいい?」
「いいよ!」
「ひなたなら絶対できるよね」
「うん!」
昔なら、ただ頼られることが嬉しかった。
困っている人を助けることが好きだった。
だから断る理由なんてなかった。
でも、いつからか。
「できない」
という言葉だけが、少しずつ言いにくくなっていった。
ある日、なつきと遊ぶ約束をしていた。
「ひなた、今日ゲームしようって言ってたやつ持ってきた?」
「……あ」
「まさか」
「忘れた」
「お前なぁ」
なつきが呆れた顔をする。
ひなたは笑った。
「ごめんごめん!」
「まあいいけど」
「なつき優しい!」
「お前が言うな」
二人で笑う。
いつも通りの時間。
その時、ひなたのスマホが鳴った。
友達からだった。
『ごめん、ちょっと相談したいことあるんだけど』
ひなたはすぐに返事をする。
『いいよ!どうしたの?』
なつきはそれを見ていた。
「また相談?」
「うん」
「ひなた、最近それ多くない?」
「そう?」
「だって遊んでる時も結構スマホ見てるじゃん」
ひなたは少し考えてから笑った。
「でも困ってるんだって」
「……」
「私が聞くだけで楽になるなら、その方がいいじゃん」
なつきは何も言わなかった。
ひなたらしいと思った。
優しい。
昔からそうだった。
だから、その時は気にしなかった。
でも、ひなたは少しずつ自分の時間を減らしていった。
誰かの話を聞く時間。
誰かを励ます時間。
誰かを安心させる時間。
その代わり、自分のことを話す時間はなくなっていった。
「ひなたってすごいよね」
ある日、友達が言った。
「何が?」
「だってさ、いつも明るいじゃん」
「そう?」
「悩みとか無さそう」
その言葉に、ひなたは一瞬だけ止まった。
でもすぐ笑った。
「そんなことないよ」
「え、あるの?」
「あるある!」
「嘘っぽい」
「ひどい!」
また笑い声が広がる。
その場では、誰も気づかなかった。
ひなたが「ある」と言ったあと、少しだけ寂しそうな顔をしていたことに。
なつきも気づかなかった。
家に帰る途中。
なつきはふと思った。
「ひなたって、本当に悩みとかあるのかな」
でも、すぐに考え直した。
「いや、あるに決まってるか」
「でもまあ……ひなたなら大丈夫か」
その言葉は、何気なく出たものだった。
ひなたは10歳だった。
まだ子どもだった。
本当なら、誰かに甘えてもいい年齢だった。
泣いてもいい。
できないと言ってもいい。
助けてと言ってもいい。
でも周りは、ひなたを見て言った。
「ひなたなら大丈夫」
そのたびに、ひなたは笑った。
「うん、大丈夫」
そう言えば、みんな安心するから。
ある夜。
なつきと電話をしていた。
くだらない話。
学校の話。
最近見た変な動画の話。
いつもの時間。
「なつき」
「ん?」
「私さ」
「何」
「ずっとこのままなのかな」
「何が?」
少し間が空く。
でも、ひなたはいつもの声に戻った。
「なんでもない!」
「なんだよそれ」
「なつきってほんと単純だよね」
「は?」
「すぐ信じる」
「お前な」
二人で笑った。
その時のなつきは知らなかった。
ひなたが言わなかった言葉があったことを。
「疲れた」
「怖い」
「誰かに頼りたい」
その全部を、ひなたは飲み込んでいた。
そして、なつきはまだ信じていた。
ひなたなら大丈夫だと。
コメント
1件
「ひなたなら大丈夫」って言葉が、回を追うごとに重くのしかかってくる感じが切なかったです。10歳の子が「できない」を飲み込んで、笑顔で“大丈夫”を演じる姿に胸がギュッとなりました。特に電話で「ずっとこのままなのかな」と言いかけてやめるシーン、あの一瞬の間が本当にリアルで…。ひなたの繊細な心の揺れを丁寧に描いてくださって、感情移入せずにはいられませんでした。続きが気になります。