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熊を意識しているからか、周囲の茂みの物音が気になる。
念のため木の棒を手に取り、音を出しながら森の中を進む。
凛の遺体は大輝と岬にあると聞いた、一体誰が熊に襲われたのか?
全く予想できない状態だ。
しばらく緊張感を高めながら進むと洞穴が見えて来た、祠はあの中だ。
周囲を注意しながら洞穴に入っていく、中に入ったとこを襲われたらもとこもない。
昼間でも洞穴の中はひんやりとしている、昨晩、紗栄子と凛を運んだあたりには何もない。
もう少し奥なのか、スマホの灯りを照らしながらゆっくり歩いていく。
ゆっくりと足元から前方へ灯りを向け行く。
「うぉええーっ」
あまりの光景と奥から吹いて来た風で生臭い匂いが一気に来たせいで吐き気がおそう。
腸なのかなんなのかわからない#腑__はらわた__#が所々に飛散し遺体らしき本体が見えた。衣類は、泥と血で原色がわかないような状態になり、言っていたように腹部のあたりから引きちぎられている状態だ。
左手で口と鼻を覆い、顔を確認する。手前に被害者の足先があり、上へ視線をずらす。
「頭部がない。。。」
首の根本は、引っ張れ引きちぎられたような状態になっていた。
周りを見渡すが、光の届く範囲に頭部が見当たらない。
「プルル、プルル」
いきなりスマホがなりだす。
「うぁ、なんだ着信か。」
紗栄子からだ。
「真ちゃん、大丈夫?」
「熊は今のところいないようだ、けど問題発生だ」
「こっちも問題発生。。」
「何があった?」
「もうすぐ警察がくる、通報したみたい」
「まじか、すぐ戻る」
あいつら余計な事しやがって。普通、このような状態で通信手段があれば当然の選択だ。
真一は時間が無いながらも周囲に頭部がないかを探す。
「くそっみつからねぇ」
真一は勇気をだし、遺体の触り出す、ジーンズのポケットあたりに硬い感触が。
この形はスマホだ。
引っ張り出すとやはりスマホだった。手に取るが顔認証かパスワードを求められる。
「くそ、時間がない」
真一は光の方、洞穴の出口目掛け急いだ。
洞穴をでると現実世界に戻ったように暑い日差し、蝉の声が聞こえる。
早くセルシオに戻ってバックれないと。真一は全力で森を突き抜ける。
木々の隙間からセルシオが見えて来た。
車の中には7人が乗っていて、俺を見つけた途端に騒ぎだし、一方を指差す。トンネルの方だ。
俺は指差す方をみた、見なきゃよかった。
50m先に150cmくらいのツキノワグマが何かを咥えては転がしている。
俺はその光景を目にして背筋に悪寒がはしった。まだ俺の存在に気付いていない。
ツキノワグマが咥えては転がしているもの、黒い塊、時折肌色が見える。
「被害者の頭部だ。。。」