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。 .:・.。. .。.:・
「うわぁ~!桜子さん!人が僕に押し寄せてくる!」
クスクス「避けてくれるから大丈夫よぉ~」
「さっ!桜子さん!テレビの撮影してますよ!!」
「うん、ここら辺はしょっちゅう毎日放送がロケしてるよ」
「どうしてこんなに外国人観光客が多いんですか?」
「うん、東京より多いよね、関西は外国人観光客に人気だよ」
その年の12月のはじめにシオンが大阪に到着し、桜子は彼を新大阪駅に迎えに行った、数か月ぶりに見るシオンはやぼったい髪型は相変わらずだが、やっぱり眼鏡の奥は整った顔があった
初めてあった時と同じフロッグコートにブラックのデニムにブラックのブーツだった、ユニクロのシンプル無地コーデだが、彼が着るとスタイルの良さが際立って見えるように思えた
今桜子は強く確信した、シオンはやっぱりイケメンだ、ただそれを本人がどうしようもないレベルで気づいていないだけだ
桜子が「どこに行きたい?」と聞いたら、特に田舎から出てきた素朴な青年が興味を示したのは梅田地下街だった
。 .:・.。. .。.:・
ふわ~・・・「ここが一度入ると出られないという有名な地下街「梅田ダンジョン(迷路)」・・・」
シオンがずっと先まで見えなくなっている「ホワイティ梅田」の繁華街を見てため息をつく
フフフ「そうそう、大阪の中心地区、七つの駅を繋ぐ地下街よ、サグラダファミリアみたいに1933年からずっと拡張し続けているから地図が作れないって有名なの、地元民の私でも半年も来なかったら迷うわ、だって道が変わってるんですもの」
「七つ!?山口なら駅が七つあったら、もう県一つ分ですよ!」
シオンは目を丸くしたままくるくると首を回した、やぼったい前髪が揺れて眼鏡の奥の瞳がきらきらと光っている
「みんなどうして迷わないんですか?僕、さっきから天井の案内板ばっかり見てますよ」
クスクス・・・「地下だからGoogleマップが使えないのよね、だからみんな「感」で動いてるわ、迷ったら地上に出て、振出の阪急百貨店からまた始めるの」
そう冗談を言う桜子のコートの袖をシオンは軽くつまんだ、一メートル先すら見えないあまりの人混みで、はぐれたら大変だとばかりにキョロキョロしている、心細そうにしているシオンの手を繋いであげようかと桜子は思ったがそこで思い止まった
―ダメ、ダメ・・・シオン君は私を作家の先輩として尊敬してくれているだけなのに、親しくしすぎて気持ち悪がられたりしたらどうするの、私は彼より十歳も年上のただの作家仲間・・・ただ大阪をガイドするだけなんだから―
桜子はそっぽを向いたが頬が熱くなっているのは自分でも分かった、こんな風に男性と肩を並べて歩くのは初めてかもしれない
「さあ、行きましょ、最後に、とっておきの場所があるの」
「とっておき、ですか?」
「まずはおなかを満たしましょ!」
「僕腹ペコですよ!」
贔屓にしている滝が流れる焼肉屋に桜子はシオンを連れていった、彼は大いに喜んでくれた
コメント
2件
素敵なデートね😊 さらなる進展があるのかしら🤭
わあ、大阪の街の活気が目に浮かぶようでした!特に「梅田ダンジョン」って表現、めっちゃしっくりきますね。桜子さんがシオン君の手を繋ぎそうになって止めるシーン、年の差や立場を考えてる感じが伝わってきてドキドキしました。二人の距離が少しずつ縮まっていく予感がして、続きが気になります!