※この物語はフィクションです。
実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。
〈File72:最小単位の世界〉
「ご家族から暴力を受けていませんか?」
智世は深く俯いた草麻さんを見据え、透徹な眼差しでそう言った。
その言葉には耳にしただけで胸に大きな石を投げ入れられたような心地にさせる。
草麻さんはまばたき3回ほどの間を置いて、小さくゆっくりと首を横に振った。
「まさか、そんなことあるわけないじゃないですか」
草麻さんの言葉にはささやかな微笑みが添えられていた。
笑っているけれど、細められた眼差しや持ち上がった口角が冷たくよそよそしく見える。
それは言葉と表情と胸の内、そのどれもが一致していないせいなのかもしれなかった。
口を挟むべきか、横目で智世の出方を窺う。
すると智世は落ち着き払った様子で、膝の上で手を組んでいた。
だけどその目が一瞬だけ草************************
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