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転生特典のスキルは最強だった

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転生特典のスキルは最強だった

4 - 第4話「奴隷少女リアと“最強”の秘密」

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2025年06月04日

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第4話「奴隷少女リアと“最強”の秘密」
王都の外れにある古びた宿舎――


軋む床と、風が吹き抜ける木製の壁。寝台は硬く、毛布も薄い。だがアレスとリアにとっては、久しぶりの“安全な場所”だった。


リアは部屋の隅で、まだ怯えたように座っていた。

小さく身を丸め、長い髪で顔を隠し、誰の声にも反応しようとしない。


「リア」


アレスは、リアの前にしゃがみ込んで声をかける。


「……」


「無理に話さなくていい。けど、俺は味方だから」


ゆっくりと顔を上げるリア。

その目には、まだ恐怖と警戒が残っていた。


「……本当に、地球から来たの?」


「ああ。俺も君と同じ。あの隕石で死んで、気が付いたらこの世界にいた」


リアは、ぼそりと呟いた。


「……わたしも。怖かった……。気付いたらこの世界の森の中にいて……捕まって、奴隷にされて……」


「ひどい話だ。でも、もう大丈夫。ここからは俺が一緒にいる」


リアの瞳が、わずかに揺れた。


アレスは立ち上がり、鞘に入ったままのボロ剣を手に取る。


「……実はさ、俺、まだスキル〈最強〉の正体が分かってないんだ。そろそろ試してみようと思ってる」


「……最強?」


リアが小さく首をかしげる。


アレスは笑った。


「そう、転生特典で貰った。名前だけ見るとすごそうだろ? でもステータスはオール1で、見た目は最弱なんだよな」


彼は部屋の隅に置かれた木製の椅子に向けて、剣を軽く振った。


その瞬間――


「ッ!?」


ドガァンッ!!


木の椅子が、空中で爆発四散した。


リアは目を見開く。アレスも驚いていた。


「……おいおい、ちょっと斬っただけだぞ?」


「……な、なに、それ……」


「スキルの効果か……? いや、まるで“力が無限に底上げされてる”感じだ。オール1の俺が、物理法則を無視してる」


リアは、呆然とアレスを見つめていた。


そして、ぽつりと。


「……もしかして、私のスキルも、関係あるかも」


「……え?」


リアが言った。


「私も、転生特典でもらったスキルがある。“共鳴”って名前……でも、今まで何の役にも立たなかった」


アレスの背筋に、寒気が走る。


「……まさか、“共鳴”って、“他人のスキルと連動する”とか……?」


「……分からない。ずっと発動してなかった。でも、アレスに出会ってから……」


そのとき――アレスの身体に、再び力が湧き上がった。

“スキル最強”のエネルギーが、前触れもなく加速する。まるで何かと“重なり合った”かのように。


「……共鳴してる。たぶん、リアのスキルが、俺の“最強”に共鳴して……」


リアは自分の両手を見下ろし、小さく震えた。


「……私も、“戦える”の?」


アレスは笑った。


「戦う必要はない。でも、そばにいてくれるだけで、俺は“最強”になれる。だったら――最強コンビってことだろ?」


リアは驚いたようにアレスを見つめ――そして、小さく、うなずいた。


まだ震える声で、でも確かに。


「……ありがとう」


それが、彼女の“新しい人生”の第一歩だった。



こうして、“最弱”と“絶望”は出会い、

互いのスキルが共鳴しあい、やがて世界を変える――


《第5話へ続く》


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