《君の存在が半透明だったとしても》
side 成瀬晃
俺の見ている景色は全て灰色だった。
もう、どうでも良くなった。親の言いなりになる生活が苦しかった。
たった一言の”助けて”が言えなくなってしまっていた。
他人に迷惑がかかるから。親の悲しむ顔を見たくないから。
そんな想いに縛られた俺は、いつの間にか自分にとってはただのロボットだった。
俺は人の心が読めてしまう。気持ち悪がられる。それが嫌で言いなりになった。
ボーっと考え事をしていた俺は前に人が居ることに気が付けなかった。
そんなときだった、曲がり角で生徒とぶつかってしまった。
痛いとかは感じなかった。相手の心配と言う感情も感じない。
ふと、ぶつかった生徒の様子を伺った。
ぶつかった生徒は自然と不思議だった、今まで灰色だった世界が。
魔法が掛けられたように、色のある世界になった。
ぶつかった生徒の名前は志倉唯。クラスで一時期話の話題とかでなっていた生徒。
話しかけようとすると、ページがめくられていった。
そこには、見たことの無い綺麗な自分が描かれていた。
「…なんだよ、これ?」
『成瀬君に見られた…?怒られてしまう?気持ち悪がられる?笑われる?』
多分、彼女は怯えていたんだろう。
俺は読めてしまうから何となくわかってしまう。
「…描かれている俺は、こんな感じなんだな。」
彼女はびっくりした表情でこちらを見た。微かに見たことある少女だと思った。
「……っ意味わかんねー、」
俺はそっと、ノートを彼女に渡した。
多分、もう彼女には会えないだろう。あぁ、一生会えなくなってしまうんだ。
そう思ってくると、泣きたい気持ちと絶望の気持ちが重なり合った。
だが、不思議に泣きたい気持ちの方が大きくなってしまい久しぶりに泣いてしまった。
忘れていた感情がこんなとこで思い出すと思っていなかった。
思い出した日が今日、4月20日
その日は俺が部活を辞めて、思い出した日で彼女と見た世界の最後の日だった。
コメント
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なんか今までのプロセカのストーリーと見比べるとめちゃ人格が変わってて同一人物か疑ってしまう すき