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《君の存在が半透明だとしても 》
side 志倉唯
学校では一時期大騒ぎになった。
それは、皆の憧れそして人気者の成瀬君が部活を辞めたそうだ。
私は凄く悲しかった。ずっと憧れていて誰よりも努力家だった成瀬君が辞めるなんて。
でも、私は何も言えなかった。声をかければいいのに、そう自分で思っていた。
でも、私はもう話せなくなってしまったから何もかけることが出来ない。
もし、私に話すことが出来たのなら声をかけていたのかもしれない。
放課後になるとまた私は美術室へ行き1人で絵を描いている。
しばらく絵を描いているとドアの向こうからノックする音が聞こえた。
ドアを開けるとそこには成瀬君が居た。正直驚いたのかもしれない。
私は、成瀬君に頭を下げると彼は無言で美術室に入っていった。
そのまま、気まずい雰囲気で居ると成瀬君が話しかけてきた。
「志倉……唯だっけ?あの時俺とぶつかった生徒は」
私は頷いた。また成瀬君が話してきて、こう私に言ってきた。
「なんで、俺の事描いてんの?描いてても面白くないし。意味無いと思うけど。」
私は、心の中で『そんなことないですよ、成瀬君はこんな綺麗なので!』と呟いた。
「なぁ、志倉…いや唯でいいか?」
私は、スマホで【うん】と書いてある文字を見せた
「その方が楽か?」
【少し遅いかもしれないけれど、動くよりマシかなと思いまして】
「唯、俺…実は人の心が読めるんだ、」
えっ、成瀬君が?私は驚いてしまった。そんな事ないと心に言い聞かせていた。
「俺の事気持ち悪いか?怖いか?」
私は少しの間考えて。スマホの画面を成瀬君に見せた。
【そんなことないですよ。成瀬君は成瀬君で私の憧れの方ですから。】
私はいつの間にかこのような文を書いてしまっていた。
この文章こそ気持ち悪いのではないかと思ってしまっていた。
数分後、成瀬君は美術室を出ていってしまっていた。
少しでも成瀬君と一緒にいて凄い思い出だなぁと思いつつ。
これから、文化祭と部活に向けて頑張っていきたいなと思った。
その日は、成瀬君が私に秘密を言った日で少し嬉しかった。