聖女は復讐の刃にキスをする

　朝の陽が、カーテンの隙間から差し込んでいる。
　その眩しさに、ミリエットはぼんやりと目を開けて、

「あ……」
「おはよう、ミリエット」

　広い寝台。すぐ隣には、温かな微笑みを浮かべたヴォルフラムがいる。その腕は、しっかりとミリエットの体を抱きしめていた。
　彼女が言葉を返すよりも早く、唇が触れる。
　額に、頬に、それから唇に。その温かさに、ミリエットは胸がじんとした。
　夢ではない。生きて、ここにいる。

（そう、だ。私……帰ってきたんだわ）

　夜半過ぎ、ミリエットを取り戻した一行は、アルタール王都へと帰還した。
　今までの疲労と緊張から、ミリエットは王城に戻ると同時に気を失った。だから、今でもこの光景が夢なのではないかと疑うほどだ。

「ヴォルフラム様…＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

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