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「お邪魔します、」
「いいよ!早く上がって!親いないし!」
なんだろう、結月の顔が若干腫れているような気がする。こんなことは僕が最初に体験した過去にはなかったはず。
「結月、どうしたの?その顔、」
すると結月は服を脱ぎ始めた。
「ちょ!待って待って!なんで服を脱ぐの!?」
とっさに手で目を隠したが、結月は僕の手を掴んで、
「ちゃんと見て。」
と言ってくる。僕は恐る恐る目を開けると、
「え、、、、、、」
そこにはお腹や背中など、ありとあらゆる部分が紫色に腫れ上がっていた。
「どうしたの、これ、、、」
「お父さんにやられた。」
とても衝撃的な一言だった。もともとDVをしてくることは知っていたが、ここまでひどいものだとは思っていなかった。正直、結月の父親の人間性を疑うものだった。
「え、それ児童相談所とかに言ってみた?」
「言ってない、言ったら多分殺される。」
僕は今までの人生でここまで腹が立つものはなかった。
「じゃあ、これからどうするの?」
「一旦夏休みは、皐月の家に住むことになるから、夏休み明けてから一緒に考えてくれない?」
「うん、わかった、」
これからどうすればいいんだろうか、一旦病院に行ったほうがいいのだろうか。お金ならバイトでためた金があるからなんとかなる、
「一旦病院行く?」
「いや、でもお金、」
「大丈夫。金ならバイトしてたときの貯金があるからなんとかなる。」
「そ、そうなの?」
「うん、保険証ある?」
「一応、」
「じゃあ行こうか。」
「ありがとう、、」
そして僕達は一旦病院に行くことにした。しかし、病院についたのはいいが、もう深夜だったからか、空いていなかった。
「どうする?病院空いてないみたいだけど、、、」
結月は俯いたまま無言のままだ。
「明日あらためて来ようか、」
そういって帰ろうと手を引いた瞬間、背中に強い衝撃を受けた。
「いっ、、!!」
「皐月!!!!」
そう駆け寄ってきた結月が手を差し伸べようとした瞬間、結月の体が吹っ飛んだ。
「げほっ、げほ、」
結月はとんだ衝撃からか、血を吐いている。
「結月!」
「おーい、結月い、お前何してんだ?帰らなかったら殺すって言ったよな?」
誰だ、こいつ、
「お父さん、」
「は、」
こいつが、結月の父親?
「おい、本気でいい加減にしろよ?マジで殺すぞ。」
「ごめんなさい、」
「いや、ていうかもういいわ。もう殺す。産むのが間違いだった。」
その言葉を聞いた瞬間。僕は体が勝手に動き、近くに落ちていた石を拾って結月の父親の頭を殴った。
ゴスっという鈍い音がしたのもつかの間、どうやら当たりどころが悪かったらしく、その場で倒れ、血を流していた。
「あ、」
その瞬間自分が冷静に戻る。
どうしよう、どうすればいい、人を殺してしまった。
僕は人を殺してしまったということを自覚した瞬間、突如吐き気と寒気が同時に来た。
「おええ、」
だめだ、苦しい。本当にどうすればいい。
勢い任せな行動をした自分を後悔していると、
「あ、あはっ、あはははっ、あははははははは!」
結月が笑い始めた。
「やっと、やっとよ、やっとこいつから開放されるんだ!ざまあみやがれ!あはははは!」
狂気じみた顔つきで結月は喜んでいた。すると結月は首だけ動かし、こっちを向いてきた。
「皐月い、やっぱあんたは私の救世主だよ!もう苦しまなくて済むんだよ!」
僕はどうしてか、結月に対しても恐怖を抱いてしまった。
「あ、そうだ、その石、貸して?」
悪魔に取り憑かれたかのような顔で、こちらを微笑んでくる。
「だめだ、そんなことしたら、結月が捕まってしまう!それに、結月のお父さんはもう死んでるじゃないか!それにこれからのことは夏休みが明けてから一緒に考えるって約束したじゃないか!」
まだ何をするか言ってはいなかったが、様子からしてやることに想像がついてしまった。
「は?なんで?捕まったっていいじゃん、復讐することの何が悪いの?こいつはそれだけのことをしてきたんだよ?それに、皐月が最初に殺したんじゃん。あと、夏休み明けって何?皐月はもう殺しちゃったから捕まるのがオチじゃない、なら今復讐して私が捕まっても、何も変わらないじゃない。」
その言葉に、僕は何も言い返せなかった。
「もう!いいからかして!」
そう言って結月は僕の手から強引に石を奪って振りかぶった。けど僕はどうやってもそれを止めないと、と思った。
「待って!結月!」
そう言って僕は結月に飛かかった。しかし、僕は結月が相手だったからか、一瞬気が抜けてしまいその隙をつかれ
「邪魔しないで!!!!!」
そう結月が叫び僕の後頭部を石で殴った。その瞬間僕は倒れ、だんだんと意識が消えていき、完全に消える寸前、冷静に戻ったのか、結月が泣きながら僕を抱きしめているのがわかり、僕は完全に意識が途切れてしまった。
「もう一度やり直して。解決策を探して。」
また結月の声が聞こえた。そして、
「明日から夏休みだけど、羽目を外すなよー。」
「はーい」
僕にとって三度目の夏休みが始まった