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プルルルプルルル ピッ
???「はい〜もしも〜し」
???「ごっほごほごほ……」
???「ん?橙ちゃんもしかして風邪引いてる?」
「雨花」は「橙」から電話を受けていた。携帯の向こうから橙の咳が聴こえる。
橙「じ、実は……ごっほごほ……そうなんです」
雨花「やっぱり。橙ちゃんゆっくり休んだ方が良いよ!!家に誰もいないの?」
橙「父は……仕事に行ってまして……」
雨花「じゃあわたし今からそっち行って良い?色々買ってくるから」
橙「げっほげほ……でも……」
雨花「橙ちゃん。誰かに来て欲しくて電話してきてくれたんじゃない?わたしは甘えて欲しいな」
橙「……すみません……では、お願いします」
雨花「はぁーい。ベッドの中にいるんだよ?じゃあ一旦切るね」
雨花は電話を切ると急いで看病のための商品を買いに出かけた。
雨花「よし……行こう」
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ピンポーン
橙「あ、雨花……さん」
雨花「橙ちゃん!しんどいのに出てくれてありがとう!早く部屋に戻ろう!」
橙「うっ……はぁ……っ!」
雨花「橙ちゃん!」
雨花は倒れた橙を受け止めた。
雨花「めちゃくちゃ火照ってるじゃん!体熱すぎだよ!」
「とにかく」
雨花「今は橙ちゃんの部屋に行って休んでもらわないと」
雨花は橙をおんぶすると、橙の部屋へと向かった。
雨花「橙ちゃん。どこが橙ちゃんの部屋?もしかしてなかったりする?」
橙「いえ……ありますよ。二階に上がったら突き当たりを左です」
雨花「ひ、広い家だね……」
橙の部屋に着くと、雨花はゆっくり橙を寝かせた。
雨花「多分夏風邪かな……でも、他の病気の可能性もあるし……とりあえず病院行くまでに色々しないと」
雨花は買ってきたものを袋の中で広げる。
雨花「とりあえず冷えピタを貼って……」
橙「ふぅ……ふぅ……」
雨花「それからちゃんと毛布を被せて……」
橙「…………」
雨花「橙ちゃん。冷蔵庫ちょっと開けても良いかな?氷水を替えに行きたいんだけど……」
橙「やめ……て」
雨花「?」
橙「もう……もうっ……離れていかないで」
雨花「…………」
ぎゅっ
雨花「うん。分かった。離れていかないよ。わたしはちゃんと橙ちゃんの近くにいるから、隣にいるから」
雨花は橙の手を握りながら、そう告げた。
橙「……ふぅ……ありがとう」
そう言うと、橙は眠りについた。
雨花「ちゃんと近くに、隣にいるからね……今は」
二人は手を握り合いながら、
時間がすぎていくのだった。
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橙「……めかさん、雨花さん」
雨花「んぅ……あっ!寝ちゃってた!?ごめんね!橙ちゃん!」
橙「それは別に構わないんです!私も今目覚めたところなので……」
雨花「そかそか!……体調どうかな?」
橙「さっきよりはマシになりました」
雨花「じゃあ体温測ってみよう!体温計買ってきたから」
雨花は体温計を橙に差し出し、橙は体温を測った。
ピピッピピッピピッ
橙「……37.9°」
雨花「まだまだ下がってないね。高熱だし、お父さんに早く病院連れてって貰った方が良いよ?まだお盆じゃないし」
橙「でも、父は仕事頑張ってますし……邪魔する訳には……」
雨花「……お父さん優しいんだっけ?」
橙「え?えぇ。優しいですよ」
雨花「それなら甘えても絶対負担になったりしないよ!寧ろ弱ってる時頼って貰えなくて病状が悪化した方がお父さん苦しいと想うよ?」
橙「そうでしょうか……父にはすごくお世話になっているので迷惑かけたくないんですが……」
雨花「…………橙ちゃんのそういうところ、素敵だなって想うし、わたしもみ習わなきゃなって想うけど、そういう人ほど壊れやすいってわたし……わたしさ。知ってるんだ。」
橙「!」
雨花「橙ちゃん。わがまま言ったって、弱音言ったって、良いんだよ。わたしは橙ちゃんに壊れて欲しくないから」
雨花は橙の目を真っ直ぐみつめる。雨花の眼差しは真剣だったが、合間合間に闇がみえる。
橙「……分かりました。父に連絡します」
雨花「うん!してきな」
橙は早速父親に連絡をして、すぐ病院に行くことになった。
病院から帰宅後
「橙。雨花さんがいてくれて良かったな!後でお礼とお返しないとな!」
橙「色々買ってくれたからお金渡さないとね」
橙は自分の部屋に戻ると、さっき雨花がいた場所をみつめながら、さっきの雨花の目を想い出す。
橙「…………」
あの目は……
絶望を知っている目だ
あの時、あの子が私に向けた目と
種類は違うけど
同じ絶望の目だ
橙は、外を眺める。
涼しい風が橙を照らし、包み込んだ。
その風を同じように包んであげたい人を想いながら。