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rui
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79 ◇帰ってきてください
体調でも悪いのかと思い、出向いて行くと……別段悪い様子もなく。
まぁ、元気はなかっけど。
「お話があるって言ってたけど、なにかしら……」
リビングに入ると私の来るのを待っていた夫が腰を下ろし、私に土下座をした。
「なに、なに……なにしてるの?」
「頼む、家に戻ってほしい。帰ってきてください」
「無理っ」
自分でも吃驚するくらいのスピードで拒否の言葉が出た。
きっと私の中の内在心が、夫のこれまでの所業を良しとしないのだと思った。
「もう彼女とはメールもしないし、ランチもしないから。
そうだ、転職するよ俺。転職する……そうすれば彼女にも会わないだろ?」
「10年遅かったかな。もう無理だわ。あなたのこと愛してないもの。
あなたに気持ちのある10年前のあの日にそう断言してくれていたらね~。
考える余地はあったかもしれない。でもね、もう今更なの。
過去には戻れないように、私の気持ちも変えられないのよ」
「あいつと暮らすのか?」
「あいつって? 」
「美代志くんだよ」
「ね、よく考えてみて。年頃の息子がふたりもいるのよ。
息子を大切に想う私がそんなことするわけないでしよ。
あなたと一緒にしないで。
若者も息子と同じ、大切な存在だけど、男女の仲にはならないわ。
それに彼は若いでしょ? この先きっと可愛い彼女ができるわよ。
年の離れた私じゃ不釣り合いだし、浮気されるのはあなた1人でたくさん。
もうこの先誰かに裏切られるなんて絶対いやよ。
男女の仲にならなければ、いつまでも息子たちと同じように楽しく一生を
通じて仲良くできるでしょ?
私は自分を裏切らないひとたちに囲まれて暮らしたいの」
「……」
「寂しんだったら、彼女にプロポーズすれば? 私と離婚すればすぐにでも
結婚できるわよ」
「結婚なんてしないよ……」
「35才と55才か~、ちょっと厳しいかもしれないけどいいんじゃない?
結婚するなら早くプロポーズして籍をいれないとあと5年でアラ環でしょ?
条件厳しくなるものね~」
「俺はきみ以外と結婚なんてしないよ。
……っていうか、絶対離婚なんてしないから」