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「さむい…」チラチラと雪が降り積もる凍えるような夜。空気は怖いくらい澄んでいて呼吸がしずらい。寒さで手は感覚が無くなっていた。それでも第一は自分よりももっと幼い妹達だ。気を緩めたらダメだ
「しょう、大丈夫だよ…お兄ちゃんが一緒だからな…」
自分の肩くらいまでの身長しかない妹は鼻水を垂らしながら喋った
「うん…お兄ちゃん…寒くて仕方ないよ」
自分にはどうもすることが出来ない…ごめん…ごめんな…まだ1つになった妹と10歳の妹そして12歳の俺。どう足掻いても自分たちじゃ生きられない。
そんな事を考えながら途方に暮れていた時だった
「こんな夜中に君たちだけで何をしている?お父さんやお母さんは?」
救いの手を差し伸べてくれた大きな手
まるでヒーローのような
「…にぃ…ちゃん!!…」んー。うるさい
「お兄ちゃん!!!」
「うわぁ!!」
大きな声で自分を呼んだのは今年から高校二年生になった俺の義理の妹・翔だ翔は日本人で俺の義理の母の連れ子だった。当時中国人の父は
「大人しくて礼儀正しい子だ」
なんて言っていたが
「もうお兄ちゃんってば全然起きないんだから」
朝からバカでかい声を出せるほど元気の有り余った奴で何処が大人しいんだかと今は亡き父を疑う。
「お兄ちゃん~!今日学校で出す書類の保護者の所にお兄ちゃんの名前書いてもいい?」
「あー…良いよ~」
「ありがとう!笵 浩然(ハン・ハオラン)っと!」
「満足か~」
「満足~!学校行ってきます~!萌はもう学校行ったよ」
「もう行ったのか~…早いな」
「そりゃそうだよ〜!今日は転校初日!昨日からワクワクしてたもん!」
そう、俺たち3人家族は昨日このおんぼろ団地に越してきたばかりだ。
「学校帰ってきたらご近所さんに挨拶だからね!」
「はいはい…」
「私も行ってきます!お兄ちゃんおしごとファイト~!」
「ありがとう。行ってらっしゃい」
さて、俺は工事現場の仕事に行くか…今月はそこまでピンチじゃないな…長い襟足を1つ結びにし、気を引き締めた。
学校
こ、ここが私が通う高校…!前の学校より綺麗だなぁ…廊下の床なんて隅から隅までツルツル…
「さぁ入ってきてください」
ビクッ…!!!
そうだった!今から私…みんなの前で自己紹介…
すんなり開けることが出来る扉をあけ教室へと足を踏み入れる
「は、はじめまして…笵 翔 といいますよろしくお願いします」
((中国系の子なのか?))ザワザワ
なんか…周りの人の目が…怖いな
「はい!」と大きな声を出しながら手を叩いた先生は
「笵さんはあそこの空いてる席へかけてね」先生が指を指したところは窓際の1番後ろの席だった
「はい!」
ナイスポジションだ…!と思ったが
左隣はなんだかずっと無表情の金髪外国人
「…よろしくお願いします」
と一応言おう
「おーけーチャイナ」え…え!?
「私純日本人です~!!!」
「ホーホー」
何だかガラ悪いな…
放課後
帰り道
今日は転校初日だから疲れちゃった…隣の人は変な人だったし…帰ったらちょっと寝ようかな…
「…」
あ…前の人…あの外国人だ…
「ちょっと!着いてこないでよ!いくら俺に惚れてるからって」
「勘違いも甚だしいです!!たまたま帰り道が一緒なだけです!」
「はいはいそーですかー」
どこまでもムカつく人だな💢
でも、本当にずっと行先一緒だな…このままだと家につい…た
「「え?」」
まさか…
「お前も団地!?」「あなたも団地!?」
続く