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「…駄目!!!!!」
「………え」
飛び降りようとした僕の腕が、誰かに掴まれる。
振り向くと、息を切らして僕の腕を掴むニグさんがいた。
「…っ!」
僕は腕を振り払ってまた身を乗り出す。
「…!」
ニグさんはそれを阻止するために、背中から抱きつくように抑え込む。
「やだ!死なせてよ!やだ!」
僕は暴れるけど、ニグさんの力が強くて振り解けない。
「………落ち着いて」
少しニグさんの力が弱まる。
「…俺の家、一旦来ません?色々聞きたいことあるし…」
僕はしばらく考え込んで、小さく頷いた。
「………はあ」
俺は頭を抱えて溜め息をつく。
なんで、俺…あんなこと言っちゃったんだろう。
俺が別れようって言ったとき、うたちゃん凄く悲しそうな顔してた。
俺の、大好きで誰にも渡したくない、世界で一番愛している恋人…のはずだった。
俺には新しく好きな人ができてしまった。
その人の名前は…さもさん
さもさんは明るくて…その可愛い笑顔を見ると、胸がどきどきする。
でも、だからって…ああもう…
俺はただひたすら後悔していた。
俺はポケットからキーホルダーを取り出す。
………うたちゃんは、俺のことを純粋に、真っ直ぐ愛してくれたのに…
なのに俺は、新しく好きな人ができた挙げ句、うたちゃんのことを傷つけてしまった。
………ごめんなさい、うたちゃん、俺、うたちゃんのこと愛してたはずなのに…
「………凸さん?」
顔を上げると、心配そうに俺を見るべるちゃんが立っていた。