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そして、大晦日。
先生と初めて一緒に年越しする。
なんかわからないけど、特別感を感じていた。
「今日は大晦日だね。凛さんと一緒に年越し出来るの僕も嬉しいよ」と先生は言ってくれた。
「はい!私もですよ!」と私は返した。
先生も一緒の事を思っていると知れて、私は嬉しかった。
年末は家で過ごすことにしていたので、昼間はテレビを見ながらゴロゴロ2人でしていた。
夕食は、私達はそばが苦手なので、簡単な冷凍うどんにした。
「今年やり残した事無い?」と先生が聞いてきた。
「う〜ん…」と考えたが、どうも私にはやり残しは無さそうなので、「うん。無い!」と答えた。
「僕も…無い!!」
「じゃあ聞かなくてもいいじゃん(笑)」
そんな風に夜を過ごした。
笑って年越ししたかったので、嬉しかった。
今までは、そうやって年越ししたことは無かったから…。
そしてテレビを見ながら年を越し、新しい年を迎えた。
「あけましておめでとう!凛さん!今年もよろしくお願いします!」と白河先生が言って来た。
「うん!こちらこそ。よろしくお願いします!」と私は返した。
「はい、お年玉あげる!」と先生が水色の小さな封筒をくれた。
『こんなに年明けすぐにお年玉くれる大人なんているんだ…。
いや、白河先生が世界一早くお年玉をくれる男なのか…』と思いながら、 「うん!ありがとう!早速開けちゃって良い?」と私が聞くと、「良いよ!」というので開けてみた。
開けると、なんと一万円札が5枚も入っていた。
生まれて初めて貰った大金のお年玉だった。
「こんなに…良いの?貰っちゃって…」と私は複雑な気持ちになり、そう聞いてしまった。
しかし、先生は「良いよ!凛さんの為のお年玉だからね。ちなみに何に使うつもり?」と答え、聞いてきた。
「う〜ん…貯金かな?」
「おぉっ!偉い偉い!」とにこにこしながら先生は答えてくれた。
その後は少し寝て、6時くらいに起きた。
年明け初の朝日(初日の出)を見るためだ。
寝ぼけ眼で2人で外に出た。
まだまだ深い青の色の空だった。
寒かったけれど、先生が手を繋いでくれたから、心も身体も共に暖かくなった。
それから20分後、明るくなり、朝日が出てきた。
私達と住宅街、遠くの街をどんどん明るい太陽が照らしていく。
私は先生の方を見る。
目が合うと、にっこりと微笑んで、頷いてくれた。
朝日が当たっていて、更にいつも以上にかっこ良く見えたので、密かに興奮した。
その日の昼頃に、私達は初詣へ行った。
お正月なので屋台も沢山あり、ポテトを買った。
『白河先生と今年も沢山幸せに過ごせますように。』とお願いをした。
おみくじは先生と私共に大吉だった。
2人で驚きつつ、興奮が止まらなかった。
そして、中学校の新学期の日の朝。
先生はやはり暗い。
「大丈夫…?」と私はついつい聞いてしまう。
「うん…大丈夫だよ。」と白河先生は答えた。
先生が玄関を出る時、「白河先生ファイト!」と私は言った。
「うん!ありがとうね。凛さん。なんか勇気出てきた!」と先生から笑顔が溢れた。
久しぶりに家に1人居るのは寂しかったので、テレビを付けてその気持ちを紛らわした。
そして夜、先生が帰ってきた。
やはり久しぶりだったからか、それとも何かされたからなのか、とても疲れているように見えた。
「大丈夫だった?今日。」と聞く。
「何かをされたりするのはなくなったけど、陰口っていうのかな…みたいなのは沢山ある。白河先生が〜とか、白河先生ってね〜みたいに。」と言ってきた。
『やはり、私達の周りからはそういう厄介な人は消えないのか…。消えてもまた引っ付いてくるし…。本当の無限ループじゃん…』と思った。
そう思っていると、「そんなに心配しなくてもいいからね。 色々抱え込んで、新年早々に体調崩されたら困るしね」と優しく先生が言ってくれた。
先生こそ、本当の私の親みたい…。
気持ちの気遣いが凄く良いし、とにかくざっくりと優しい。
そう思っていると、自然と涙が出てきた。
私の頬を涙が濡らす。
「大丈夫。凛さん。泣きたい分だけ泣いて良いからね。僕は凛さんがいくら泣いても怒らないから。」と優しく言ってくれた。
「だって…涙が…止まらないもん…」と私は言った。
「大丈夫。大丈夫。沢山泣いて良い。泣くことは悪い事じゃなくて、とっても良いことなんだから。」と先生は言うと、私を抱き寄せ、背中を優しくポンポンとしてくれた。
私は先生の胸の近くで沢山泣いた。
先生が着ているカッターシャツが濡れていくのが分かる。
しかし、本当に白河先生は怒らず、私を優しくなぐさめてくれた。
先生の顔を見ても、涙のせいで滲んで見える。
けれど、優しい笑顔で白河先生は私を見ているのは分かった。
私はずっと先生のもとで泣き続けた。
と言うよりも、自然と涙が出てきていた。
しかし、そのおかげで少し気持ちがスッキリした気がした。
白河先生が言っている通り、泣くことは悪い事じゃなくて、良いことなんだな。と思った。