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「くそ、またやられた!」
ここは山の中の小さな村。この村で、最近猿による農作物の被害が続いていた。
「またか。こうも続くと……」
この村は豊かではなく、ぎりぎりの生活だった。そんな中での猿による被害は、決して軽いものではなかった。
「こうなったら、やるしかないな……」
「ああ。追っ払うぐらいではだめだ。近くの村の猟師にも協力してもらって、根絶やしにせねば……」
それは仕方のない選択だったのかもしれない。そうしなければ、村のものも生きてはいけなかったのだ。村の男たちはさっそく集まり、近隣の猟師と相談することにした。
「ふむ。それなら毒だな。強い毒を使ってしまっては思わぬ被害が出る。だが、このしびれ薬を使えば、数時間体がしびれるだけで、後には残らぬ。その間に皆殺しにしてしまおう。ただ、気をつけろ。奴らは意外に賢い。同じ手段は二度通じぬ。やるなら、一度に、一匹残らず、だ」
こうして入念な準備がされた。まず、猿に何度かわざと農作物を盗ませ、その後を追い、群れの位置を特定した。そして、簡単に盗めると錯覚させた猿に、毒を仕込んだ農作物を盗ませた。
「よし、いくぞ!」
毒が十分に効きはじめるころを見計らって、村人たちはそれぞれ武器を手に、猿の群れに突撃した。予定通り、猿たちは毒でしびれて動けないようだった。
「よし、かかれ!」
村人たちは、動けなくなった猿たちを農具で叩き殺していった。しびれ薬のせいでまったく動けない猿たちにはなすすべがなかった。
「ギャァーーー!」
悲痛な叫び声をあげる猿たちを、一匹、また一匹と、村人は虐殺していった。
「おい、子猿がいるぞ。どうする?」
「どうするもなにも、殺すさ。今は子どもでも、すぐに大きくなる。一匹も逃がしはしない」
「そうだな。やるか」
そして、生まれたばかりの子猿も、無慈悲に殺されていった。
「これで全部か?」
「ああ、そのはずだ」
村人たちは確認しあい、猿の虐殺は終わった。しかし、村人たちの顔に笑顔はなかった。
(続く)