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ショッピを見送りそういえばと思って、玄関に向かう。
「ん。やっとるな。」
花に水をやってる生徒に軽く声をかける。
「トントン先生ー!」
今度は生徒に声をかけられる。
「どうしたんや。」
「それが裏門のところに変な人いて…。勘違いかも知んないですけど一応報告しようと思って…。」
「そうか…。わかったありがとう。正門から帰れよー」
変な人ねぇ…。そう考えてると、
「トントン先生だ!」と生徒か寄ってくる。
トントン先生何してるんですか!?」
「あっえっと…。」キャーキャーと騒ぎだす生徒を落ち着かせようとする。
その時ゾムが校舎からでてくる。
そんなゾムは裏門に向かっていった。
まずい。直感で思う。「あっ…」
声をかけようにも追いかけようにも生徒たちに遮られていけない。そこに向かうことができたのはちょっと過ぎたあとだった。走ればまだ間に合うと走ると、
ゾムと男がしゃべっていた。ゾムの身体を触ってるように見えて俺は男の手を振り払った。そして俺は迷わず間に入る。
「トントン…。」小さく後ろでつぶやいたゾムは少し泣いていた。怒りがこみ上げる。腕をつかもうとすると、男は走って逃げていった。急いで振り返る。
「大丈夫か…?」よろけるゾムを支える。「ありがとう…。トントン…」火照った顔と肩で息をしているゾムは心臓に悪い。空いているジャージの中に着ている乱れたワイシャツも色気を増幅させる。
「とりあえず校舎はいろか…。」裏口からゾムを校舎にいれる。職員室ではなく、教室に案内した。
「…。」俯くゾムはうつくしく蛍光灯にきれいに照らされている。聞いていいのだろうか。俺は逃げたのに、今さらいいのだろうか。そう思いつつ先生として話しかける。「ゾム。落ち着いたか…?」
「…うん。」久しぶりの面と向かっての会話は正直気まずい。
「…。」「…。」
沈黙が続くなか、しゃべりだしたのは意外にもゾムからだった。
「変なとこ見せたよな〜。あはは…。」
「いや。そんなこと思ってへんよ。」
こちらを見つめるゾムは悲しそうな顔をしている。「とりあえずどうするんや。」
「しょっぴんちに行くよこのあと。」
そうか。と返事をする。時計の針の音が、響く。「じゃあ帰りますね。
先生。」
この一言は、心の距離を感じてしまう。自分の作った関係性なのに…。
立ち上がり、教室を出ようとするゾムを追いかけて、気づいたらゾムに抱きついていた。
「えっ…。」
ああだめじゃないか。あいつとおんなじじゃないか。こんなの絶対だめなのに…。
「ごめんなゾムっ。助けてやれなくてごめんなっ。ごめんっ。ごめんっ。」
ポロポロと雫が頬をつたう。
「あっ…」正気に戻りゾムから身体を離す。「すまん。」こちらを向かないゾムは怒ってるように感じる。
またやらかしちまったなと肩を落とすと急にこちらを向く。
なんだと思うと笑顔のゾムがいた。困ったような笑顔で
「トントンは優しいな。ありがとうな。」そうやってもう一度微笑んで去っていった。
この選択は合っていたのだろうか。