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ええ。ええ。左様で御座いますね。本日はお忙しい中お尋ね下さり、本当に感謝してもしきれず…ええ。そうですね。
きっとあの方も喜んでくださいますわ。ええ。お気を付けくださいな。ではまた。
ガチャリ、と電話を置く。ほうとため息を
つき、気持ちを落ち着かせようとする。
あの日から手帳に心情を書留めることにした。
黒い布に、知り合いみな、身を包んだ日。
暗い顔、知り合い皆、なってしまった日。
今日はよく冷え込むので、さっさと書き留め寝床に入ってしまおうと、手帳を開く。
人というものは皆、三十六度の温もりが有ります。これを読んでいる貴方も。
現に私は、自分の片方の手でもう片方の自分の手を握り、気晴らし程度ですが暖をとれます
暖を、とれてしまいます。1人で。
あの日から、2人で暖を取り合わなくても良くなってしまったのです。
あの、最初はひやりとして、あとからじんわりと温もりが伝わってくる、あの大きい手で暖を取らなくとも。
暖かいねと2人で笑いあった質素な食事の後の、暖かいほっぺたに手を当て、暖を取らなくとも。
今夜も冷え込むからと、優しく布団をかけ、眠った時の、心地良さと心の温かさで、暖を取らなくとも。
1人で暖をとれます。湯たんぽにグツグツ煮えたお湯を注いで、ゴム栓を閉めて。布団を
かぶりながら、湯たんぽを抱いて寝れます。
自分の手でもう片方の手を
擦り、暖かくできます
でも、すぐにひやりとしてしまいます。
朝起きたら、湯たんぽなんてとっくのとうにひやりとしてしまいます。
ほっぺたももう、暖かくありません。いつもいつも、濡らしているからでしょうか。
自分の手も、片方を暖かくしたら、もう片方がひやりとしてしまいます。
はたと字を書留めるペンを動かすのをやめる。
書き写すのはここまでにして、あとは頭の中だけで完結させてみよう…そう思いたちました。
2人の暖かみは、一度知ってしまうと1人でも
大丈夫だった自分が、どんどん1人では生きていけなくなってしまう。それがたまらなく
怖くて、背筋がひやりとする。
……最初はひやりとして、温もりを分けて
くれたあの方の手。
あの日 暖かい湯たんぽがほしくなるような朝
手を触ったらずっと、
ひやりという感触のままでした。
背筋がひやり。頭もひやり。
じんわりした、あの暖かい感覚が訪れません。
どれだけ私で暖を取らせようとしても、向こうに温もりが伝わりません。
大きな手はピクリとも動きません。
その時、
その大きな手の大好きだった ひやり は
好きでは 居られなくなった
あの日から何日経ったでしょうね
最近は 私 たくさんの ひやり に襲われます
はよう はよう あの方の元へ行き
お会いして 暖を、やはり、ふたりで
とりたいです
もう 1人で取らなくてもいい様に…