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地下回廊の奥へと進むにつれ、空気はさらに冷え込み
代わりに電子サーバーが放つ低い重低音が心臓を直接揺さぶり始めた。
迷路のように入り組んだ通路の至る所に、三和会の過激派たちが待ち構えている。
だが、山城の捨て身の援護射撃が、俺の行く手を切り拓いた。
「ここは俺が引き受けた、兄貴は最深部へ!」
背後で山城の咆哮と散弾銃の轟音が響く。
俺はその背中に無言で頷き、さらに深部へと駆け抜けた。
辿り着いたのは、無数の光ファイバーが血管のようにのたうつ、広大なドーム状の空間。
その中央、青白い光を放つ巨大サーバー『ヤタガラス』の前に、一人の男が座っていた。
「……遅かったな、和貴。新宿の英雄様がお出ましだ」
阿久津。
大河内ですら持て余し、その凶暴ゆえに破門された男。
上半身に彫られた大蛇の刺青が、サーバーの放つ不気味な光に照らされて蠢いている。
奴の足元には、無残に破壊された神崎の端末と、息絶えた傭兵たちが転がっていた。
「阿久津……。神崎の計画を乗っ取って、何をするつもりだ」
「何をする? 決まってるだろ。この国を『拳一つで食える時代』に戻すんだよ」
阿久津がゆっくりと立ち上がる。
その手には、巨大な鉈のような厚刃のドスが握られていた。
「神崎の作ったこのシステムは、俺が書き換えた。これから日本中の全資産が、暴力のヒエラルキーに従って再分配される。……弱者は死に、強者がすべてを奪う。それが本来の極道の姿だろ?」
「……それは極道じゃねえ。ただの獣だ」
俺は親父のドスを抜き放った。
「親父が、拓海が守ろうとしたのは……そんな血生臭いだけのゴミ溜めじゃねえんだよ」
「なら、その『筋』とやらが、俺の力に通用するか試してみりゃいいさ!」
阿久津が地響きを立てて突進してくる。
一撃。
巨大な刃が俺のドスを叩き、火花がドーム内を焦がす。
重い。
大河内とも、神崎とも違う、純粋な殺意の塊。
俺はサーバーの熱気と激しい金属音の中で、自身の極限を超えた集中力を研ぎ澄ませた。
左肩の傷が悲鳴を上げる。
だが、その痛みが俺を現実に繋ぎ止めていた。
「……終わらせるぞ、阿久津。この亡霊の時代をな!」
二人の極道、二つの時代が、この国の心臓部で激突する。