この作品はいかがでしたか?
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2時間目 晴れない霧
◇*-*◇*-*◇*-*◇*-*◇*-*◇*-*◇
(…はぁ…)
(どうするべき、なんだろうな…)
その辺をテキトーに歩きながら、
第二音楽室での事を思い出す。
私は、昨日放課後に1人で第二音楽室の掃除をしていた。
第二音楽室に入ったのは、私が最後?
私の後に、入った人がいる…?
でも証拠がない。
第二音楽室に、防犯カメラなんてモノは無い。
(…だめだ、歌う気にすらなれない。)
(気晴らしにカラオケで
なんか歌おうと思ったんだけとなぁ…)
近所の公園の小汚いベンチに座る、
「あーあ、ほんと、どうすればいいんだろ」
今の状態で部活に行っても、
100%楽しむことなんて出来ない。
この状態で行っても、意味は無い。
きっと、演奏に統一感が出ない。
なら、あの3人で楽しく練習してる方がいいじゃないか。
(…まず、私は本当にあの3人と部活をしたいのかな、)
わたしは、あの3人と音楽を奏でたい…、
4人でしか奏でられない音がある。
他とは違う、<ナニカ>がある。
じゃあ、それは何?
4人の絆だ。
でも、それがない今、私たちが奏でる音楽になんの意味があるの?
そもそも、なんで私たちは5年も同じメンバーで
バンドを組んでるの?
趣味?偶然?
…分からない。
「…おい、何ブツブツ独りで言ってんだよ」
そう言いながらペットボトルのお茶を
差し出してきた。
「え、あ…タイチ?」
「ごめんね、ヘンな所見せちゃって。
お茶、ありがと!」
「てゆーか…、私、なんかそんなにブツブツ言ってた…?w」
「「………」」
「…ねぇ、タイチ…?」
「なんでそんなさっきから私のことを
ジッと見てるの…?」
「いつもと違うから。」
「…え、?」
「だから、いつもと違うんだって。」
「いや、何言ってんのw」
「私はいつも通り元気だよ、?」
「馬鹿みたいにはしゃいで、当たり前のように赤点取って。」
「毎日楽しく過ごしてるこの瑠歌ちゃんが
いつもと違う?」
「まっさか、そんなワケないじゃんw」
必死に取り繕う。
タイチ相手にそんなの通じるワケないのに。
タイチと私は幼馴染…、と言うより腐れ縁。
いい意味でも、悪い意味でも。
物心つく前から遊んでいた、と親は言っている。
そんな長年付き合っている彼に、嘘なんて通じるはずない。
分かってる、わかってるけど、
自分の弱いところは見せたくない。
「ふっはw」
「…おまえ、今更隠し事とか何考えてんの?」
楽器を取り出しながら言う、
タイチは私と同じ高校三年生。
吹奏楽部の部長であり、
サックスのパートリーダーでもある。
「…珍しいね、タイチが私のことに首突っ込むなんて」
「そっちこそ、いつもと違うんじゃない?w」
「まあ、そうかもしれんな」
「でも、今はそんな事どうでもいいわ」
そう言い、マウスピースを楽器本体に付ける。
「久しぶりにセッションしようぜ、
お前も元気ないだろ?」
「…ぁ……。」
(…ッ)
「…なんだ、やらんの?
いつもなら乗り気なのに」
「…もしかして、軽音メンバーでなんかあったか?」
「え、あ…、それは…」
「…図星だな、」
「俺の家来い、詳しく話聞かせろ」
「…わか、った」
コメント
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部長かっけぇぇぇ!(感動)